【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

礼儀

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「まあ…君の気持ちはわかるが、今は静かに聞け」
男が囁く… 

嘘だ…  
今の俺の気持ちが… 
おまえにわかるはずも、ない…  
   
      死だ…   
        

     死ぬ、かもしれない…

  おまえに、殺されるかもしれない…

いや…かも、しれない…では、ない…
この男は実行するつもりだ…
確実に…俺を消すつもりなのだ… 

ああ…   

悩みを打ち明けられた時、人は安易に、気持ちはわかるなどとその相手に言ってしまうが、もう少し言葉の使い方を気をつける必要があるな…

現に悩みを抱えている人間の気持ちは、
やはりどうしても本人にしか…分かり得ないのだ…   なのにサラリと、わかるなどと言われると、逆に反発を覚えそうだ…

ああ…   気持ちがもたない… 思考が段々と
すさみ始めている…

そんな…
今、考えても仕方のないどうでもよいことを考えてしまう…  
もう俺には、人から相談されるような…恐らくそんな機会すら、与えられないのに…
どうやら俺自身の気持ち、精神より先に、
俺の脳が、現実逃避を開始…し始めたような…

男は続ける。

「そうだ…耳だけ傾けろ…
話は至って、シンプルだ。
あの…茉優子という地味な女は、君には少し不本意かもしれないが、代わりに俺がいただくよ…という話だ…。
その事だけはやはり大人の礼儀として、君に…伝えておかねばと…思ってね… 」


     茉優子が、なんだと…

      男は今、なんと…
       
       
       言った…  ?




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