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清春編
思惑
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あの男は…この俺に堂々と、
妹である真由のことが好きだと…愛していると断言した。
夫である俺に、堂々と…
普通ならあり得ない…
どこの世界に、妹が結婚した相手の男に…
俺は妹を愛しているんだと、宣言できる男がいるだろうか…
もし仮に…仮にだ…
妹を愛していたとしても、
普通は…普通の人間であれば、その気持ちはそっと胸にしまい、ひた隠しにするのではないか…
だが、この男は…
俺にあの光景を見られて観念したのかなんなのか、気持ち良いほどに堂々と、真由への愛情を俺に、情熱的に言ってのけた…
決して兄弟愛などではない、男としての真由に対する感情を俺に吐露し、そして恐らく、男としての欲望はあの男の心…身体の奥底に、爆発寸前の形で燻っているに違いない…
もはや、兄弟間の愛情ではない…
あのリビングでの光景、そして病室で、真由の頬に残されたあやしげに濡れた跡…あれは哲也の涙などではない…
そして哲也の数々の発言からはもはや、耳を閉ざすことはできない。
男として…真由を妹ではなく一人の女として見ていることが嫌でもわかってしまった…。
だが、そうであったとしても、なぜあそこまで、自信に満ち満ちた態度で、真由に対する気持ちを俺に語るのか…
真由に、もはや意識が戻らないことを悟って、真由に自身の汚い欲望を知られることはないからと、ある意味開き直った態度なのか…
男の思惑が、全くわからない…
それとも…あまりに信じ難い話で、今でもあり得ない話だとは思うが、あの男がさきほど吐いた言葉通り…
真由が…男の…哲也の気持ちを知った上で、男のキスに応じていたとでもいうのか…
いや…そんな、馬鹿な…
真由に限って、あり得ない…
真由は俺と結婚しているのだ。
正真正銘、俺の… 今でも…
俺の妻…な、はずだ …
ギッ… …
遠くから、
重いドアが、開くような音…
「おや… 気が付いたのか… 意外に、早かったな… 少し早目に顔を出して良かったよ…」
「 … … っ… … 」
男が戻った。
おまえは…
俺を…どうする気だ…
心臓がはち切れそうになりながらも、
俺は唯一塞がっていない
耳を、そばだてた…
妹である真由のことが好きだと…愛していると断言した。
夫である俺に、堂々と…
普通ならあり得ない…
どこの世界に、妹が結婚した相手の男に…
俺は妹を愛しているんだと、宣言できる男がいるだろうか…
もし仮に…仮にだ…
妹を愛していたとしても、
普通は…普通の人間であれば、その気持ちはそっと胸にしまい、ひた隠しにするのではないか…
だが、この男は…
俺にあの光景を見られて観念したのかなんなのか、気持ち良いほどに堂々と、真由への愛情を俺に、情熱的に言ってのけた…
決して兄弟愛などではない、男としての真由に対する感情を俺に吐露し、そして恐らく、男としての欲望はあの男の心…身体の奥底に、爆発寸前の形で燻っているに違いない…
もはや、兄弟間の愛情ではない…
あのリビングでの光景、そして病室で、真由の頬に残されたあやしげに濡れた跡…あれは哲也の涙などではない…
そして哲也の数々の発言からはもはや、耳を閉ざすことはできない。
男として…真由を妹ではなく一人の女として見ていることが嫌でもわかってしまった…。
だが、そうであったとしても、なぜあそこまで、自信に満ち満ちた態度で、真由に対する気持ちを俺に語るのか…
真由に、もはや意識が戻らないことを悟って、真由に自身の汚い欲望を知られることはないからと、ある意味開き直った態度なのか…
男の思惑が、全くわからない…
それとも…あまりに信じ難い話で、今でもあり得ない話だとは思うが、あの男がさきほど吐いた言葉通り…
真由が…男の…哲也の気持ちを知った上で、男のキスに応じていたとでもいうのか…
いや…そんな、馬鹿な…
真由に限って、あり得ない…
真由は俺と結婚しているのだ。
正真正銘、俺の… 今でも…
俺の妻…な、はずだ …
ギッ… …
遠くから、
重いドアが、開くような音…
「おや… 気が付いたのか… 意外に、早かったな… 少し早目に顔を出して良かったよ…」
「 … … っ… … 」
男が戻った。
おまえは…
俺を…どうする気だ…
心臓がはち切れそうになりながらも、
俺は唯一塞がっていない
耳を、そばだてた…
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