【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

記憶

「…　…　　は　…　？…」今度は…乾いた声が、勝手に口から飛び出す。

「…　起きていたんだよ、真由は…　あの夜…」男が、笑う…

今、男はなんと、言った…

真由が、あの夜…　あの時、起きていた…　　と…　？　

　　そう、…　…　言ったのか…？　　

それは…ない。
絶対にない、はずだ…　　　
ない、　ない…　　ありえない…　

だって、あの夜、真由は眠りこけていた…

俺はあの夜のことを思い起こす…　　

かなり前のことではあるが、俺にとってはあまりに衝撃的な光景だったため、
まだその時の記憶は、完全に残っている。

真由は、やはり寝ていた…　

俺が帰宅してから…俺が哲也と少し話していた最中に、真由はむにゃむにゃと目を覚ました。

起きた後、俺におかえりと声を掛け…
確か哲也に対しても…寝て、しまってごめん…とか…DVDがどうとか…

たった今、起きたとばかりに、真由はそんな話をしていた…　そうだ…

俺が哲也の行為を目撃したその瞬間も、真由の目は閉じて…


いや、違う…　見ては、いない…　　

　　そういえば、俺は、あの夜…


　　　真由の顔を、

　　　　しっかり見ていない…