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清春編
話
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男は淡々と、話を続ける。
「どうしたんだ…?そんなに何度もため息…というか、息が荒いな…はあはあと苦しそうだね…そんなにも気掛かりなことが、君にもあるのかい…?」
気掛かり…どころの話ではない…
なぜ、自宅のリビングにおまえが… ?
「お… お、 おに… 、さ… 」
駄目だ…
とても、言葉にならない…
だが、慌てるな…冷静に考えろ…
これは、普通のことなのか…
一般的に、あり得ること、なのか…?
いや、やはりこの状況は、あり得ない…
いくら兄でも…
真由の兄でも…
俺の義理の、兄でも…
義理の兄、哲也が…
自分の家に、主人である俺が知らぬ間に入り込んでいるこの状況… は、
やはり、 おかしい…
「… なんだい… ?… …」
男の不思議そうな声…
こちらが…心から不思議に思っている…衝撃を受けている状況なのに…
この男の…堂々としたこの態度は一体、なんなんだ… なぜ…
そうだ…前に来た際に… ひょっとして…
わ…忘れ物…でも、あった、とか…
いや… 仮にそうだとしても、無断で…人の家に入り込む、なんてことは…
さすがに、非常識では…
あるいは、真由の関係で何か…取りにきた…とか…
俺の頭が…まるで防御の構えで…
また、楽観的思考の方向に無理矢理、走り出す…
「な… んで… こ… ここ、 に…?」
俺は小刻みに震える手で…なんとか珈琲カップを、テーブルに置く。
「… なんで…? だと…?」
「はっ… は、 い … 」
まだ、まともに話すことができない…
人間は、どうやら驚き過ぎると言語を忘れるらしい…それと同時に、なぜこんな時にまで、返事が敬語になってしまうのか… 自分を、呪いたくなる…
「明白なことだ…君を、跡形もなく… …ため、だよ…?… 」
「け… …? 」
なんだ… 今、何と言ったか…?
俺の…聞き間違い、か… ?
け、
す…?
「ああ、そうだよ…覚悟はいいかい…?俺はずっとこの日を心待ちにしていたんだ…今、興奮で身震いがしている…寒気を感じる位だ…」
「は… …、っ… な… 」
「大丈夫か…?清春君…
さっきから全然、喋れていないぞ…まずは、その淹れたての珈琲を飲むといい…
冷めてはもったいない…確か君も、俺に聞きたいことがあったようだし…まあ、
最後の晩餐ならぬ、最後の珈琲…としようか…? …ふふ…」
この男は、さっきから…何を言っているんだ…
頭が、回らない… わけが…
意味がわからない…
「さあ…もう邪魔はいない…今からゆっくり……いや、時間には限りがあるな…まぁボチボチの急ぎ足で、大事な話をしようか…」
「… … …」
消す…
まさか…
俺は恐怖におののきながら…
今度こそ首を捻るようにしながら、ゆっくり後ろを振り返る…
そこには…
ソファーのすぐ、後ろには…
やはり夢では、ない…
腰を折って跪いた哲也が…
恐ろしく綺麗な顔で、にったりと笑いながら、
たたずんでいた…
「どうしたんだ…?そんなに何度もため息…というか、息が荒いな…はあはあと苦しそうだね…そんなにも気掛かりなことが、君にもあるのかい…?」
気掛かり…どころの話ではない…
なぜ、自宅のリビングにおまえが… ?
「お… お、 おに… 、さ… 」
駄目だ…
とても、言葉にならない…
だが、慌てるな…冷静に考えろ…
これは、普通のことなのか…
一般的に、あり得ること、なのか…?
いや、やはりこの状況は、あり得ない…
いくら兄でも…
真由の兄でも…
俺の義理の、兄でも…
義理の兄、哲也が…
自分の家に、主人である俺が知らぬ間に入り込んでいるこの状況… は、
やはり、 おかしい…
「… なんだい… ?… …」
男の不思議そうな声…
こちらが…心から不思議に思っている…衝撃を受けている状況なのに…
この男の…堂々としたこの態度は一体、なんなんだ… なぜ…
そうだ…前に来た際に… ひょっとして…
わ…忘れ物…でも、あった、とか…
いや… 仮にそうだとしても、無断で…人の家に入り込む、なんてことは…
さすがに、非常識では…
あるいは、真由の関係で何か…取りにきた…とか…
俺の頭が…まるで防御の構えで…
また、楽観的思考の方向に無理矢理、走り出す…
「な… んで… こ… ここ、 に…?」
俺は小刻みに震える手で…なんとか珈琲カップを、テーブルに置く。
「… なんで…? だと…?」
「はっ… は、 い … 」
まだ、まともに話すことができない…
人間は、どうやら驚き過ぎると言語を忘れるらしい…それと同時に、なぜこんな時にまで、返事が敬語になってしまうのか… 自分を、呪いたくなる…
「明白なことだ…君を、跡形もなく… …ため、だよ…?… 」
「け… …? 」
なんだ… 今、何と言ったか…?
俺の…聞き間違い、か… ?
け、
す…?
「ああ、そうだよ…覚悟はいいかい…?俺はずっとこの日を心待ちにしていたんだ…今、興奮で身震いがしている…寒気を感じる位だ…」
「は… …、っ… な… 」
「大丈夫か…?清春君…
さっきから全然、喋れていないぞ…まずは、その淹れたての珈琲を飲むといい…
冷めてはもったいない…確か君も、俺に聞きたいことがあったようだし…まあ、
最後の晩餐ならぬ、最後の珈琲…としようか…? …ふふ…」
この男は、さっきから…何を言っているんだ…
頭が、回らない… わけが…
意味がわからない…
「さあ…もう邪魔はいない…今からゆっくり……いや、時間には限りがあるな…まぁボチボチの急ぎ足で、大事な話をしようか…」
「… … …」
消す…
まさか…
俺は恐怖におののきながら…
今度こそ首を捻るようにしながら、ゆっくり後ろを振り返る…
そこには…
ソファーのすぐ、後ろには…
やはり夢では、ない…
腰を折って跪いた哲也が…
恐ろしく綺麗な顔で、にったりと笑いながら、
たたずんでいた…
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