【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

感傷

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哲也が主導でさらに会話を進める。

『…じゃあ、今君は病院でひとり、なんだな…?』

『はい…ですのでもう、俺はいつでも大丈夫です。』

『食事は…?』

『ついさっき、済ませました。』
地下の喫茶店のエッグなんとかが割と美味かったとは、どうしても言う気になれなかった。

『そうか… じゃあ、俺はもうすぐそちらに行くので、君はもう自宅に向かっていいよ?』

『え… 先に、帰っても…?』

『何か…直接会って話したいことがあるなら別だが…何か引継ぎ事項などあるかい…?』

引継ぎ事項など、ない… 
むしろ、哲也と顔を合わせずにチェンジできるのはありがたい…

『いえ、ないです…。では、すみませんがお先に失礼します。看護師の方に後ほどお兄さんが来ることは伝えておきますので』

『ああ…気を付けて帰ってくれ。』

『はい、よろしくお願いします。』俺は答える。

『それと…清春君、真由にしっかり別れを告げておいてくれ…俺と交代して真由が寂しがるといけない…顔もしっかり見ておくといい…真由も喜ぶだろう…』

『…はい…』

この男がこんな感傷的なことをいうのは珍しいな…
最近…この男の身の回りで…何か変化があったのだろうかと不思議に思いながらも、俺は返事をする。

『じゃあ、また…』
『失礼します』

さあ… 
とにかく身支度をして、家に向かおう… 

俺はいつの間にか、店員が提供してくれていた少し冷めてしまった二杯目の珈琲を一気に飲み干し、
レシートを片手に足早にレジに向かった。





 
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