【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

着信

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あのリビングでの哲也の行為…
そして、病室内での怪しげな行動…真由の濡れた頬… あれはきっと、涙なんかではない…

哲也は確実に、
妹である真由に執着している…

恐らく、哲也にとって真由はもはや妹ではなく…
あの男は、男として、男の欲望を…妹である真由に対して、抱いているのだ。

俺ははたと、考える…

そもそも真由は、これまで哲也に対し…身の危険を感じたことはなかったのだろうか…
俺とのセックスでぎくしゃくした後に、4~5日家を出て、哲也のうちに泊まった日があったが…あの数日間…真由は本当に、大丈夫だったのだろうか…  

ひょっとすると俺に言い出せなかっただけで…何か、あの男になにか怪しげな行為を…いやらしいことを…されたのではないか… 

まさかそれが原因で…   
…  真由は…

今まで考えもしなかったことだが、
そんな事態も、十分にあり得る…

そもそもやはり本当に自殺なのか…
あるいは…  哲也が…   

ああ…だめだ… 

真由の意識も戻らない今、こうやって何度自分の中だけで考えても独りよがりの想像に過ぎず…堂々巡りでしかない…

いっそ今日、哲也に正面から…聞くか…

いや…そんな下手なことをすると… 逆に茉優子のことを根掘り葉掘り聞かれないだろうか  

ああ…真由とのことを問いただしたい反面、真由の自殺の原因がいまだはっきりしない状況で…真由の夫であるという立場のみを振りかざして、まっすぐに哲也に質問することが難しい…  

  俺がもはや、
  清廉潔白な人間ではないゆえに…

いつから俺はこんな…
誰かに対して…他者に対して、引け目を感じるような人間になってしまったのだろう…

正しくあるべきだと…そう自分を律して…いや実際そうすることに特に苦痛も感じなかったにも関わらず…

茉優子に出会って… いつしか自分自身を制御できなくなるとは… 真由という妻がいながら
まさかこの俺が、他所の女と不倫関係に陥るとは…   1%も予想していなかった・・

伴侶を裏切る最低な関係性に…この俺が…自ら足を突っ込む…とは…

    もはや誰も信用できない…
 
 今更、最高に馬鹿なことを言うようだが、 
 俺はそれほどに…

     自分を信用していた   



      プルプルプル… 



突如、電話が鳴り、心臓が度飛び跳ねる…

もしや、哲也だろうか…
まだメッセージすら読んでいない、催促の連絡だろうか…  
最近の俺は一人きりでいるせいか言葉を発せず、脳内だけで自問自答の繰り返しだ…  

   気をつけねば…  
  
 そう、自分を戒めつつも…
     画面に視線を落とした。
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