【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

振動

こんなものを…

こんなメッセージを…既婚者の…人妻である茉優子に、送れるはずがない…

茉優子の旦那がもしこのメッセージを読むことがあれば…茉優子は旦那に何をされるだろう…    
聞いた限りにおいて、かなり暴力的な男だ…

きっと、殴られ…手足を縛られ…めちゃくちゃに…せめたてられるかもしれない…     想像するだけで恐ろしい…

そして俺は…殴られるだけでは済まない…最悪、訴訟を起こされるだろう…

不倫とは…そういう、ことだ…
生涯を誓った伴侶に対する、最大の裏切り…   大罪だ。

だが…
俺にそれほどの覚悟が、あるだろうか。

俺と茉優子は今…完全に道を踏み外している… 
不倫など…考えなしの馬鹿な男や女がすることで、まっとうな人間は理性をしっかりと働かせ、不倫などするわけがない…
少なくとも俺には真由がいたし…
真由以外の女性といかがわしい行為など、絶対にしないと…自分自身を信じて、疑わなかった…   

それなのに…

どこが、だ…   
　　　　馬鹿はここに、いる…

俺自身がより一層、
もう戻れないくらい深いところまで、この駄目な、不適切な関係に…
茉優子に…のめり込んでいるではないか…

ああ…やはり、
こんなメッセージを作成してしまうなんて、俺は最近本当に、どうかしている…    

冷静に考えて、ありえない内容だ…
再び消そうとすると、

　　　　　　　ブブブ…

携帯を持つ手に、小さな振動が伝わる

送り主の名前を見て、条件反射で、

　　　背筋がヒヤリとした…

　　　哲也からの、連絡だった…