【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

不可解

たとえ旦那がいようと…
哲也が俺の夢の中で、彼女を強引に組み敷き、めちゃくちゃに汚そうとも…

現実世界の茉優子は…俺だけのものだ…

あの純粋で綺麗な目にずっと見つめられていたい…
茉優子は俺が何を話しても、年齢の割に素直すぎるほどの素直な反応で…なんでも、うん、うんと…真っ直ぐに俺を見つめながら、真剣に話を聞いてくれる…

茉優子は俺にとっての安らぎなのだ…
会う時はいつも穏やかで、何を話しても決して俺という人間を否定しない…。
そしてどこまでも優しく、温かく見守ってくれるような、そんな存在…

もはや、茉優子を手放すことができない…
彼女を解放してやれる気が、しない…
彼女自らが、俺から離れたいと言わない限り…  
いや…もはやたとえそのように言われても、俺は無様に嫌だと、引き留めてしまう…かも、しれない…  

ああ…俺はもしかしてある意味において…茉優子に依存して…しまって、いるのだろうか…
いつの間に俺はこんなにも…弱く…　なってしまったのか…

それにしてもなぜ…
よりにもよって、あの男が俺の夢に、いちいち
出てくるのか…      

しかもあの男は……結局俺の質問には答えずにこの場を立ち去った。
胸が…胸の中がざわざわする…　
思えば最初からだ…

最初にあの男に挨拶をした時からずっと…真由の兄とはいえ…俺より年上だとはいえ…あの男の、俺と話す時の自信満々な…余裕のある態度がどうしても引っかかる　…　　

なぜあんなにも俺に対して、強気で…

「おはようございます」　
背後から声がし、ビクリとする。
廊下から、看護師がちらりと顔を覗かせる。

「あっ…おはよう、ございます…」
「すみません、真由さんの状態、見させていただきますね？」
「は…い、お願いします…」

俺は立ち上がり、不可解な気持ちを抱えたまま、病室を離れた。