【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

知人

結婚後まだ間もない頃…
真由と二人、ソファにもたれて肩を寄せ合いながら、お笑い番組を観ていた時だ。

そうだ…
確か、芸能人同士の不倫の話がテーマだった…不倫をしている時に、妻や夫に怪しまれ、質問をされた時の対処法…

それも、相手に即座の回答を求められている場合の、嘘のつき方…

結論として、
全て作り話はだめだと…それだと、すぐにバレてしまう可能性が高くなる…
だからその答えには
　
事実をほんの少しだけ、
　　　　　　　　
　　　　　　織り混ぜる…

「清春さん、絶対不倫なんてしちゃダメだよ…っていうか、清春さんの嘘なら…事実が混じっていたとしても、私にはすぐわかっちゃうかも～そもそも清春さん、嘘なんてつけないもんね…仮につけたとしても絶対、顔に出ちゃうよ…、ふふ…」

その時の真由の声が、ふわりと耳元で
　　　　聞こえた気がした。


俺は気付けば、口を開いていた。

「あの…喫茶店でコーヒーを…その後、食事を…気に入りの店で偶然会った知人と食事をしていました。すみません、それで少し遅くなってしまって…」

心なしか、いつもより早口になる…

　　　　　　知人…  …

時間を空けずに答えねばと焦ったあまり… 俺の阿呆な口が、余計なことを口走った… …

　　事実を…ほんの少しどころか…

　　　いれすぎた…かもしれない…