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清春編
葛藤
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茉優子の内心はわからないが、少なくとも俺の性格では…
今日を逃せば、俺の方から茉優子に会いたいなどと連絡をすることは恐らく、ないだろう…
しかも、今のこの、最悪な状況… 絶対に、こちらからは…
「清春さん…? あの… …行きましょうか…」
茉優子がバッグを手に立ち上がり、まだ座っていたままの俺に声をかける。
「すみません、では…行きましょう…」即座に立ち上がる。
茉優子に
…この後もう少しだけ…時間はありますか …
そう言いたくなる…聞きたくなる気持ちを、ぐっとこらえる…
不謹慎だ… 妻が意識戻らぬまま、入院しているこの瞬間に…
茉優子と、もう少し一緒に居たいなどと口にすること自体…
いや…こうやって頭の中で願うこと自体、罪なのかもしれない…
なのに… 茉優子は… 俺にふわりと微笑んだ後…
俺の内心の葛藤を知ってか知らずか… こう…言葉を放った。
「あの…清春さん…まだ、7時…ですが…もう…解散…ですか…?あ…っ…」
まだ7時… もう解散…?
それはつまり… 彼女も…
「… 茉優子さん…まだ、お時間…は、大丈夫なんですか…?」
気付けば…俺は茉優子の細く白い手首をつかんでいた…
こくりと、茉優子が頷く… その小さくて紅い…茉優子の唇が、目の端に映る…
駄目だ、今すぐキスしたい …
どうせ個室だ…誰も、見ていない…
「あっ…!」茉優子を自分の方にぐいと引き寄せ、
小さな顎に手をかける…。
… 駄目だ… 抗えない…
俺は、自分の中の理性が…
ガラガラと音を立てて崩れ行くのを、
頭の片隅で… 理解した…
今日を逃せば、俺の方から茉優子に会いたいなどと連絡をすることは恐らく、ないだろう…
しかも、今のこの、最悪な状況… 絶対に、こちらからは…
「清春さん…? あの… …行きましょうか…」
茉優子がバッグを手に立ち上がり、まだ座っていたままの俺に声をかける。
「すみません、では…行きましょう…」即座に立ち上がる。
茉優子に
…この後もう少しだけ…時間はありますか …
そう言いたくなる…聞きたくなる気持ちを、ぐっとこらえる…
不謹慎だ… 妻が意識戻らぬまま、入院しているこの瞬間に…
茉優子と、もう少し一緒に居たいなどと口にすること自体…
いや…こうやって頭の中で願うこと自体、罪なのかもしれない…
なのに… 茉優子は… 俺にふわりと微笑んだ後…
俺の内心の葛藤を知ってか知らずか… こう…言葉を放った。
「あの…清春さん…まだ、7時…ですが…もう…解散…ですか…?あ…っ…」
まだ7時… もう解散…?
それはつまり… 彼女も…
「… 茉優子さん…まだ、お時間…は、大丈夫なんですか…?」
気付けば…俺は茉優子の細く白い手首をつかんでいた…
こくりと、茉優子が頷く… その小さくて紅い…茉優子の唇が、目の端に映る…
駄目だ、今すぐキスしたい …
どうせ個室だ…誰も、見ていない…
「あっ…!」茉優子を自分の方にぐいと引き寄せ、
小さな顎に手をかける…。
… 駄目だ… 抗えない…
俺は、自分の中の理性が…
ガラガラと音を立てて崩れ行くのを、
頭の片隅で… 理解した…
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