【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

自問

「ふぅ…　では、そろそろ…行きましょうか…」
「はい…　」

正面に座る茉優子に、静かに声を掛ける。
素直に返事をする茉優子。
しばしの沈黙…

時計を確認するが、まだ午後7時…

教室がなかったために、いつもより食事の開始時間が早かった。
だからこの時間…

だが…
今夜はさすがに、解散…　か…　

真由を病院に残している…
そして、あの男も…　変わらずにぴたりと…奇妙なほどに真由に張り付いて
俺を待っているだろう…　…

戻らねばならない…　
それはわかっているのだが…　
…哲也が自由にしていいと言った目安の9時までには、まだ十分時間がある…

もう一度、正面に座ったままの茉優子を見つめる…
相も変わらず黒と灰色の服で身を固めた茉優子の洋服の袖から伸びた、手の…白肌が眩しい…

まだ…　茉優子と離れたくは、ない…

俺の心の奥底…俺の本音が、心に訴えてくる…

いいのか…
このまま、茉優子を家に帰していいのか…？

次はいつ…　
いつ会えるのかも、正直わからない…

唯一会える口実が英会話教室…　だが、近々やめることになるだろう…

そうすれば、もう本当に、茉優子と会えなくなるのではないか…

本当に…このまま…　さよなら…なのか…　

　　　俺は今…　どうしたいんだ…　？