【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

気配

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時間はちょうど昼だ…

茉優子はいつものように、俺が仕事の合間、昼休みにラインを送ってきたと疑わないだろう…

俺は文字を打ち込む。

『こんにちは。ご無沙汰してすみません。実は最近仕事が立て込んでいて…というか、ちょっとしたトラブルがあって… 残念ですがしばらく教室には行けないと思います。それと…これから会議に頻繁に出たり、出張もあって… …』

俺は一旦、言葉を切る…

なんと、書こうか…

本音を言えば、
今まで通り、茉優子と時々は連絡を取りたい… 

だが… 真由の状況…こちらの状況を全て隠したまま、今まで通り茉優子と連絡を取り合うのは、やはり難しい…
このまま連絡を継続すると、茉優子に部分部分で嘘をつきながらの、やり取りになってしまう…
それは、できれば避けたい…

やはりしばらくの間は、完全に、茉優子との連絡をやめておこう…

仕事は休んでいるし、今のところ出勤の目処も立っていない。
そして教室にはもう二度と、行くことはできないだろう… 
そのうち、退会届を出さねば…

俺は再び、画面に視線を落とす。

『…すみません、そんなわけで、しばらく連絡もできないと思いますし、お返事も難しいので… こちらが落ち着き次第、こちらから連絡しますね。』

俺が送信ボタンを押そうとした瞬間、

「 清春君 」
「…あっ…!!」

俺のすぐ背後…に、哲也が立っていた。

心臓が、止まるかと思った。
なぜ…こんなにも気配を完全に消して、この部屋に現れたのだ…?

そう、聞きたくなるほどに、静かに哲也は…そこに…俺の背後に立って、俺を見下ろしていた…

俺は真由の傍らの椅子に座って文章を打ち込んでいた…その背後…

もしかして、文面が…見えてしまわなかっただろうか…   

「…  お…   おにい…さん、こんにちは…びっくり、しました…」本音がつい、口を突いて出た。

「はは…少し、驚かそうと思ってね…清春君があまりに、目の前にいる真由ではなく、携帯に集中しているものだからね…誰かに、メールでもしていたのかい…? よその、女かな…?」

「え…   あ…   」言葉をなくす。

「冗談、だよ…何も見ていない…君は本当に反応が…受け答えが…毎回、真面目だね…」

哲也がくすりと笑ったが、
  
   俺は、全く…

      笑えなかった。



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