【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

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『ご無沙汰しています、石塚さん。しばらく連絡できずにすみませんでした。実は…』 

ここで、スペースを開ける…

『…実は真由が…妻が、先日自殺を図りまして、今意識不明のまま病院に入院している状況です。 
仕事もしばらく休んで妻に付き添っている状況ですので、少なくとも今日の教室は欠席予定です…』

…そこまでメッセージを打ち込んで、一旦読み返す。

いや…  無理だ…

これは駄目な…ダメすぎる連絡だ…
ラインで茉優子に…不倫相手に…妻の自殺未遂報告をするなど、あり得ない…

少なくとも、直接会って話さなければならない重大な内容だ…

ただ、伝える方法がラインであっても、会って直接話した場合であっても…茉優子がこの事実を知った時の衝撃は、いかほどだろうか…

たとえ、遺書がなく、真由の自殺の原因がなんだったとしても…
茉優子がその事実を知れば、普通の心境ではいられないのではないか…

茉優子の立場に立てば、不倫相手の妻が何らかの理由で自殺を図って、現に今生死の境を彷徨っているという現実は…恐ろしく心に重くのしかかってくる事態に違いない…

そして、茉優子のあの性格だ…

きっと…真由の自殺の直接的な原因が判明していなくても…

真由の…危険な思想…兆候に気づかなかった役立たずの夫である俺を…
そして、真由に実際にそうさせる隙を与えてしまった、阿呆な俺を…   … 

いや… 俺じゃない…

茉優子の性格であれば、
俺ではなく茉優子自身を…自分自身を…責めるに違いない…

そして間違いなく、俺と間違いを犯してしまったことを……己の欲望のままに、激しく抱き合い結果として真由から俺を奪ってしまったことを…

心から悔いるだろう…

そしてきっと、俺から離れていくに違いない…
これは100パーセント、間違いない。


ああ…だめだ…
  とても言えない…

メールだからとか、会って話せばいいとかそういう…伝え方の問題じゃない…

言えない…
茉優子には、絶対に話すべきではない…

俺はそう確信し、
 
   途中まで打ち込んだ文面を、
        一気に消去した…
 

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