【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

きっかけ

「それはそうと、最近君は英会話教室にかなりはまっているようだね…　実は真由が君を疑い始めたのは、その教室がきっかけらしい…。ある時期から、君の帰りが少しずつ遅くなってきたと言っていてね…」

「　…　そう、…　でしたか…」

茉優子と繋がって以降、他の日に約束などをして真由に誰とどこに行くのかなどと詮索されたりするのを避けたいあまり、茉優子との逢瀬は教室の日に限定していたのだがその分、帰宅が遅くなる日も増えた…。

それで逆に目立ってしまったのかもしれない…

毎回毎回メンバーと食事をして遅くに帰るという状況が、真由に少しずつ不信感を持たせていったのかもしれない。

俺は考える。
このまま…なんとなくフェードアウトするかのように会話を終了させることもできる…。
だが、哲也はもしかするとまだ…俺の言ったことを信用していないかもしれない…。
俺が不倫はしていないと伝えたにも関わらず、真由が疑っていたという理由も含め、英会話教室の話に触れてきたからだ…。

ここは、何気なく話すべきだ…。
俺は頭のスイッチを即座に切り替える。

敢えて…少しだけ会話の中に英会話教室のいちメンバーとして茉優子や他の人間を登場させ、話をしておこうか…

そもそも真由に教室の話を…
その構成するメンバーの話を何一つしてこなかったから、逆に怪しまれてしまったのだ…。
こんな人がいる、あんな人がいるんだと、少しでも話題にしていた方が不自然ではなかったかもしれない…

俺が口を開こうとすると、哲也に先手を打たれた。

「そういえば、君は教室のメンバーともかなり仲良いんだってね…？たびたび食事をするとか…？真由もうらやんでいたよ…どんな人がいるんだい…？皆、社会人なのかい…？」

「あ…　そうですね、色々な方がいますね…　例えば…」

哲也が話を振ってくれたのでこのまま自然に話を持っていける…
俺はメンバーの話をしていくうえで、目立たないような形で茉優子の話も少しだけ織り交ぜようと、

　　　　ゆっくりと口を開いた。