【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

防御

「…　…　…　…」

何が防御の言葉だ…

文章を組み立てようにも、まるでものを考える機能が失われてしまったかのように、俺は言葉を失う。

「…　え　……　？」
そう、聞き返すのがやっと…だった。

正直なところ、
まさか、こんな風に…直球で、哲也に不倫をしていないかなどと問われるとは予想もしていなかった。

哲也の口から今、そのような言葉が出てくるということは…
事実として真由が、俺を…疑っていたということになる…

俺がもしかしたら、不倫をしているかもしれないと…

真由がそんなことを…？

嘘だろう…　
真由はこれまで、一切…そんな素振りを俺に見せなかった。

そんな、はずは…　　…  

真由にばれるようなことは、何一つしていないはずだ…

茉優子と会うのは英会話教室の日だけに限定していたし…
ホテルで茉優子と抱き合った後のシャワーでは、帰宅して真由に怪しまれないように、
敢えて無香料のボディソープで身体を洗った。

ホテルの部屋へは最初の1回目を除いては、徹底して別々に入室していたし…

食事だって…　たとえ、2人で行ってみたい洒落た店があっても我慢し、
なるべく人目につかない個室で静かに済ませた…。
メールだって極力しないようにしていたし、名前の登録だって本名ではしていない…

なのに…　なんでだ…　

　　　　いつだ…　いつから…　

いつから真由は…
俺が不倫をしているかもしれないなどと、

　　　　疑い始めたのだろうか…