【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

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「清春くん、食事は済ませたのかい?」
哲也に問われる。

「はい、もう色々済ませてきましたのでお兄さんそろそろ俺交代しますよ。昨夜から真由に付きっきりでとてもお疲れですよね…すみません、助かりました」

「何を言ってる…?俺は俺自身の意志で真由に付き添っているだけだ…だから君が俺に申し訳なくなる必要はない…むしろ本当はずっと俺が真由についていたいくらいだからね…」

「…そう…ですよね…すみません」

隙を見せたくないなどと思いながらも、どうして俺はこの兄を前にすると、こんな風になんとなく、押されてしまうのだろう。
結局俺はまた、哲也に謝っている…

コンコン…

病室の外からノックの音がする。

「…失礼します…あ…坂下さんも、真由さんのお兄さんもおられましたか…ちょうどよかったです。あの、もしよろしければ今から真由さんの精密検査をさせていただきたいのですが…いろいろな検査をする関係で一~二時間程度、お時間をいただきたいと思いますが、いかがでしょう…?検査が終わり次第、坂下さんの携帯に連絡いたしますね」

「はい… お願いします。」
俺は答え、哲也も頷く。

断る理由などない。

真由が今、どんな状態でいるのか…

頭を打っていると言われているため、もしかしたら脳に異常があるのか、もしくは内臓に異常があるのか… とにかくただ、昏睡状態だから目を覚まさない可能性があると言われたままでは、どうにも不安定なままだ…

しばらく駐車場に停めてある車内でコーヒーでも飲むか…
もしくは少しだけ車を走らせて気分を変えるか…などと考えていると、哲也が俺を正面から見つめる。

「清春君、真由のことについて少し話さないか…ちょうど検査で時間ができたからここを離れられるし、好都合だと思ってね…。」

「あ…はい…」
真由のことと聞いて断りようもなかった。
「1階に喫茶店がある。そこでコーヒーでもどうかな」
「はい…」

俺と哲也はエレベーターに乗り込む。
哲也と二人きりで珈琲を飲む…
考えただけで楽しいことはひとつもない…

四角い無機質の箱は俺の気分と同様、
容赦なく、どんどん…

      下に、下がっていった。





































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