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清春編
自責
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俺は病院側に伝えられたように、真由の衣類や身の回りのものを一通り準備して病院へ急いだ。
真由の付き添いを哲也とどのように分担していくかは行ってから決めることになるが、しばらくは夫である俺が真由に付き添いたいと考え、2~3泊の出張の際に使うボストンバッグに自身の着替えなども入れて念のため持参した。
「すみません…お待たせして…」
真由の寝ている病室に声を掛けながら入ると、昨日と同じ位置に座ったまま真由の方を向いていた哲也がゆっくりと俺を振り返って口を開く。
「おや…清春くん。随分早く来たね…。もう少しゆっくりしてきてくれて全然良かったのに…。仕事の方は大丈夫なのかい…?報告とか引継ぎとか、いきなりの欠員だ…そう簡単ではないだろう…?」
「…職場の方への連絡と引継ぎは全て済みましたので、大丈夫です。」
俺は即座に答える。
なぜだか、哲也に…この奇妙な男には、少しの隙も見せたくないと思った。
そもそも妻が意識不明の状態で…家でゆっくりなんて出来るはずもない…
今朝、簡単な食事をしている時も…シャワーを浴びている時も…
心の中がざわついて仕方なかった…
あの時こうすれば… あの時、ああ言えば…
昨夜、早く帰っていれば…
などと、たらればの後悔の念ばかりが頭の中を何度もぐるぐると駆け巡っていき、
とてもではないが、落ち着ける瞬間など、ない…
そして、今一番俺の心中を占めているのは、自責の念…
それは当然だ…
真由が自殺を決意して薬を服用し…もしかしたらかなり苦しんで部屋の中をさまよっていたかもしれないその時間…
まさに、その時間に俺は…
不倫相手の茉優子を…この手に抱いていたのだ。
これが、自分を責めずにいられようか…
今…俺の中には、後悔と懺悔の気持ちしか、ない…。
真由の付き添いを哲也とどのように分担していくかは行ってから決めることになるが、しばらくは夫である俺が真由に付き添いたいと考え、2~3泊の出張の際に使うボストンバッグに自身の着替えなども入れて念のため持参した。
「すみません…お待たせして…」
真由の寝ている病室に声を掛けながら入ると、昨日と同じ位置に座ったまま真由の方を向いていた哲也がゆっくりと俺を振り返って口を開く。
「おや…清春くん。随分早く来たね…。もう少しゆっくりしてきてくれて全然良かったのに…。仕事の方は大丈夫なのかい…?報告とか引継ぎとか、いきなりの欠員だ…そう簡単ではないだろう…?」
「…職場の方への連絡と引継ぎは全て済みましたので、大丈夫です。」
俺は即座に答える。
なぜだか、哲也に…この奇妙な男には、少しの隙も見せたくないと思った。
そもそも妻が意識不明の状態で…家でゆっくりなんて出来るはずもない…
今朝、簡単な食事をしている時も…シャワーを浴びている時も…
心の中がざわついて仕方なかった…
あの時こうすれば… あの時、ああ言えば…
昨夜、早く帰っていれば…
などと、たらればの後悔の念ばかりが頭の中を何度もぐるぐると駆け巡っていき、
とてもではないが、落ち着ける瞬間など、ない…
そして、今一番俺の心中を占めているのは、自責の念…
それは当然だ…
真由が自殺を決意して薬を服用し…もしかしたらかなり苦しんで部屋の中をさまよっていたかもしれないその時間…
まさに、その時間に俺は…
不倫相手の茉優子を…この手に抱いていたのだ。
これが、自分を責めずにいられようか…
今…俺の中には、後悔と懺悔の気持ちしか、ない…。
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