【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

違う朝

「う…んっ…」

俺はどうやら、ソファでそのまま眠ってしまったらしい…。

窓のカーテンの隙間から眩しいほどの朝日が差し込んできていた。

今、何時だろうか…

テーブルに無造作に置かれた携帯を手にする。

昨夜から随分時間が過ぎたような気がするが、まだ早朝…朝の6時過ぎ…

仕事にも余裕で、間に合う時間だ…。

いや…
こんな時に…この一大事に、俺は何を考えているんだ…。
仕事のことなんて、考える必要もない…

妻が自殺だぞ…
自殺未遂をして、いまだ意識が戻らない昏睡状態のまま…病院のベッドに横たわっている…
そんな、いまだに信じられない状況…

この状況で、仕事になんか行っている場合ではない…
だが、まだ連絡するのには早い時間だ…

俺は携帯を元通りテーブルに置こうとして、思い出す。

そういえば昨夜…
いや、もう今日だが、茉優子から連絡が来ていたんだった…

通知画面を開くと、茉優子からやはり連絡が来ている…

最後にスタンプが押されているため、用件は分からないがおそらく、単なる挨拶に過ぎないだろう…。

俺は結構マメな方で、人から来たメールやライン、電話等には割とすぐに打ち返すタイプだ…
そうしないと気になって仕方ない…
気が済まないという方が、正しいのかもしれないが…。

衝撃的な夜だったので、あまり他のことに構う心の余裕がないのは事実だ…このまま、数日茉優子の連絡をスルーしてしまうことだって、できる…

英会話教室もしばらく休むことになるだろう…いや、…この事態だ…恐らく続けること事態、難しい。

だが、茉優子は別だ…

昨夜、あんな風に激しく…淫らに…自分の欲求のままに茉優子の身体を貪っておいて、昨日の今日でいきなり、手のひらを返したように無視など出来ない…

そもそも茉優子はこの事態を知らない…
俺がいきなり、何も連絡しなくなると不審に思うに違いない…

とりあえず文面を読み、簡単に返事だけでもしておこう…
俺はそう思って、
　　　茉優子のラインを開いた。