【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

生死

「…　何か、…知っているかい…？　真由が何に悩んでいたのか…夫である君なら、わかるんじゃないか…？今朝の真由の様子は、どうだった…？何か、思いつめたような様子はなかったかい…？」

「え…　っと…　　…真由は…」
哲也の視線が、俺を離さない…

まるで獲物であるカエルを狙う獰猛な蛇のように…俺が哲也から視線を逸らすのを許さない…
そんな、鋭い視線…が、俺に…

「あ…  …」
俺が答えるより先に、哲也が言葉を続ける。

「…　清春君…　真由がもし…　もし仮にだ…　この世からいなくなるようなことが、あれば…」
「は…　はい…　」

その、哲也の前置きが怖い…

でもそもそも、真由がいなくなるなんて、絶対ありえない…   そんなことは絶対…

頭の中が、混乱でおかしくなりかけながらも、哲也の話をなんとか耳に留める。

「俺は…真由を死にたいとまで思い詰めさせた…その要因…原因を絶対に、突き止める…そして、直ちに排除する…つもりだ…」

「は…　は、い…　…」
俺は言葉少なに哲也に返事をし…
下を向いて自分の膝上にある手を見つめる…  震えを止めるのがやっとだった…

真由は…　もしかしたら…　　　
気付いていたのかもしれない… 

俺の…不倫に…　　

　茉優子という、女の存在に…

　　　そう…思った瞬間だった…