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清春編
哲也の声
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『…清春君…』
受話器の向こうから、低い声で、もう一度名前を呼ばれる。
心臓が、ドクリと音を立てる…
通話ボタンを押したのは俺だ…
もはや電話は繋がってしまっている…
まだ、こちらから声を発したわけではないが、間違いなく…真由の兄、哲也には気付かれている…
もはや、答えないわけにはいかない…
『…こんばんは…お兄さん…』
諦めて、そう返事をしながらも、同時に頭をフル回転させる…
なんとか哲也の要件を聞いたうえで、早目に電話を切らなければ…
茉優子がシャワー室から出てくる前に…
俺はその時… 情けないことに…
自分のことしか考えていなかった…。
今…自分が茉優子と二人きりでホテルにいること…
そして、ついさっきまで激しくセックスをしていたこと…
真由という妻がいながらの不貞行為…
それらを…
それらの後ろ暗い、裏切り行為を…
真由の兄、哲也から…何とかして隠ぺいすることしか、考えていなかった…
保身…自分の保身だけに気持ちを注いでいたのだ…
俺が馬鹿だった…
信じられないほどに、馬鹿だったのだ…
『…清春君、…今、どこに…?』
『あ… あの、今教室から出て…喫茶店で …』
『… … 喫茶店…?… 』
『… はい… あの、…その、すみません電話に出れずに…バイブにしていて…』
『… 真由が、今にも… …そうだ… 』
震えている…のか… ?
哲也の声が震えているような、気がした…。
『… は …?』
声が小さ過ぎて、語尾が聞こえない…
『あの…今、なんて…?』
俺は聞き返す…
受話器の向こうから、低い声で、もう一度名前を呼ばれる。
心臓が、ドクリと音を立てる…
通話ボタンを押したのは俺だ…
もはや電話は繋がってしまっている…
まだ、こちらから声を発したわけではないが、間違いなく…真由の兄、哲也には気付かれている…
もはや、答えないわけにはいかない…
『…こんばんは…お兄さん…』
諦めて、そう返事をしながらも、同時に頭をフル回転させる…
なんとか哲也の要件を聞いたうえで、早目に電話を切らなければ…
茉優子がシャワー室から出てくる前に…
俺はその時… 情けないことに…
自分のことしか考えていなかった…。
今…自分が茉優子と二人きりでホテルにいること…
そして、ついさっきまで激しくセックスをしていたこと…
真由という妻がいながらの不貞行為…
それらを…
それらの後ろ暗い、裏切り行為を…
真由の兄、哲也から…何とかして隠ぺいすることしか、考えていなかった…
保身…自分の保身だけに気持ちを注いでいたのだ…
俺が馬鹿だった…
信じられないほどに、馬鹿だったのだ…
『…清春君、…今、どこに…?』
『あ… あの、今教室から出て…喫茶店で …』
『… … 喫茶店…?… 』
『… はい… あの、…その、すみません電話に出れずに…バイブにしていて…』
『… 真由が、今にも… …そうだ… 』
震えている…のか… ?
哲也の声が震えているような、気がした…。
『… は …?』
声が小さ過ぎて、語尾が聞こえない…
『あの…今、なんて…?』
俺は聞き返す…
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