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清春編
定時
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俺は真由の弁当を完食し、その日は精力的に仕事を片付けた。
なにしろ真由の作ってくれた弁当がなかなかに美味しくて、俺は少しの感動を覚えていた。
今朝の朝食といい、昼の弁当といい、十分やれるじゃないか…
俺はなぜだか、ずっと忘れていた。
真由は一時期、料理教室にも通っていたほどだし、何事もやればできるタイプに違いなかった。
少しおっちょこちょいなところをのぞけば、料理だって、多分掃除だってなんでも、できるはずなのに…ただ、やらないだけだ…
最初、何かに没頭はする…
ただ、長く続かないだけだ…
それがきっと、真由にとっての料理であり、掃除であり、家事全般なのだろう…
そんなことを考えながらも、
俺は終業チャイムと同時にオフィスを出る。
「お…坂下くん、今日は珍しく早いな、あれだっけ、なんとか教室の日か…?」
廊下で上司に声を掛けられる。
またか…
定時が珍しいとはなんだ… いつも余計な仕事を押し付けてくるのはお前だろうが…
内心そう思いながらも、
「はい…お先に失礼します。」
そう、言葉少なに返事をし、ぺこりと頭を下げる。
ああ…この、内心の声を普段から表に出せたらどんなにいいだろう…
外にあーだこーだと文句を言いつつ自分の主張を好きなだけ無理矢理に通して、ストレスを発散できる人間が本当に羨ましい…
でも、人はなかなか変わらない…
簡単には、変えられない…
今まで必死に作り上げてきた【自分】という、あくまで外から見た限りの客観的な人物像を、自らで打ち壊す…破壊するのは…
一定程度の決意と、覚悟を必要とする…
今の俺には到底、無理な話だ…
ああ… もうすぐ、茉優子に会える…
俺は、はやる気持ちを抑えながら今日も教室へ向かう。
もはや、目的は英会話教室ではない…
茉優子に会うために、向かっているに過ぎない…
茉優子は元気だろうか…
旦那はその後、どんな様子だろうか…
前に見た、身体にあった傷は少しは薄くなっているだろうか…
突如、頭の中に…
茉優子の白過ぎる柔らかな丸みを帯びた裸体が浮かびあがり、歩いているのにも関わらず、
自身のそこが反応しそうになる…
馬鹿か、俺は…
俺はその妄想を振り払うようにして、
教室の扉を手にした。
なにしろ真由の作ってくれた弁当がなかなかに美味しくて、俺は少しの感動を覚えていた。
今朝の朝食といい、昼の弁当といい、十分やれるじゃないか…
俺はなぜだか、ずっと忘れていた。
真由は一時期、料理教室にも通っていたほどだし、何事もやればできるタイプに違いなかった。
少しおっちょこちょいなところをのぞけば、料理だって、多分掃除だってなんでも、できるはずなのに…ただ、やらないだけだ…
最初、何かに没頭はする…
ただ、長く続かないだけだ…
それがきっと、真由にとっての料理であり、掃除であり、家事全般なのだろう…
そんなことを考えながらも、
俺は終業チャイムと同時にオフィスを出る。
「お…坂下くん、今日は珍しく早いな、あれだっけ、なんとか教室の日か…?」
廊下で上司に声を掛けられる。
またか…
定時が珍しいとはなんだ… いつも余計な仕事を押し付けてくるのはお前だろうが…
内心そう思いながらも、
「はい…お先に失礼します。」
そう、言葉少なに返事をし、ぺこりと頭を下げる。
ああ…この、内心の声を普段から表に出せたらどんなにいいだろう…
外にあーだこーだと文句を言いつつ自分の主張を好きなだけ無理矢理に通して、ストレスを発散できる人間が本当に羨ましい…
でも、人はなかなか変わらない…
簡単には、変えられない…
今まで必死に作り上げてきた【自分】という、あくまで外から見た限りの客観的な人物像を、自らで打ち壊す…破壊するのは…
一定程度の決意と、覚悟を必要とする…
今の俺には到底、無理な話だ…
ああ… もうすぐ、茉優子に会える…
俺は、はやる気持ちを抑えながら今日も教室へ向かう。
もはや、目的は英会話教室ではない…
茉優子に会うために、向かっているに過ぎない…
茉優子は元気だろうか…
旦那はその後、どんな様子だろうか…
前に見た、身体にあった傷は少しは薄くなっているだろうか…
突如、頭の中に…
茉優子の白過ぎる柔らかな丸みを帯びた裸体が浮かびあがり、歩いているのにも関わらず、
自身のそこが反応しそうになる…
馬鹿か、俺は…
俺はその妄想を振り払うようにして、
教室の扉を手にした。
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