【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

兄と妹

俺は続ける。

「いや…あのさ…前に真由が長く泊ってお世話になってるし、ちょっと気になって…」

「あ…　そう…　そう、だね…　うん…でもまあ、お兄ちゃんだからね…」
真由の、よくわからない返答…

「…　…　…？」俺は真由を見る。

「あの、お兄ちゃんだから大丈夫だよ…私とお兄ちゃん、前に一緒に暮らしてたんだし…気も使わずに済むし…」

「…ああ、まあ…それはそうだろうけど…　でもさ、普通に、哲也さんにも生活があるだろうし、仕事とか…あとほら…そもそも、恋人とかいたらさ…　真由はかなり、邪魔だったんじゃないかなって…」
俺がまだ、そんな風に言いかけている最中

「そっ…　そんなこと…　ないっ…もん…　！」
突然、真由が声を荒げる…少しだけ、ムキになったように、見えた…
まるで子供のような反応に、驚く…。　

「…　えっ…？」

「あ…ううん、あのね…お兄ちゃん…今彼女なんていないし、居たらもちろん私だってそっこー帰って来たよ…邪魔したくないし…でも、全然…そんなことなかったし…むしろ、いつまででもいていいよって…優しく…　」

「　…　…　…　」

「あの…とにかく、お兄ちゃんは元気…変わりないよ。迷惑がったりしてないし、そもそも私とお兄ちゃんの話…関係だから…あの…清春さんは全然、気にしなくて大丈夫…だから…」

「そっか…　それなら良かったよ…」

それ以上、なぜだか、何も言えなくなった…。　

前に哲也にも、何気ない会話の中で、『俺たちは…』と言われたことをふと、思い出した…。
まるで、哲也と真由の世界がそこにあり…　それ以外は排除するかのような響き…

でも、真由自身が、哲也と真由の関係性から大丈夫だとはっきり言うなら、もう俺にはそれ以上踏み込む勇気はない…。