【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

文字の大きさ
上 下
219 / 544
清春編

疑惑

しおりを挟む
「そう言えば、茉優子さん… 家の方は大丈夫ですか…?」

俺の裸の胸の上に、まるで猫のように頬を摺り寄せてくつろぐ彼女を見つめながら、俺が尋ねる。

「はい、今日は主人が出張なので…時間は大丈夫なんです。」
「そう…ですか…」

茉優子の夫が建築士で… 
時々出張が入るために、セックスの後に慌てて帰る必要がないときが、たまにある。
茉優子はそんな理由で、今もゆったりとしているようだ…

だが…俺には最近、気になることがあった。

まだ、茉優子に直接尋ねたことはない… 
それを目にするたびに気にはなっているが、どうしても、茉優子に尋ねることを躊躇してしまう… 

ただ、ぶつかっただけかもしれない…
仕事上、そういうことがありえる職種なのかもしれない…
しかし、今まで聞いた限りでは、そういう身体を酷使するような会社ではなかったはずだ…

『茉優子さん… その、傷はなんですか…?どこかに、ぶつけましたか…?』

俺の中にくすぶる、一つの疑惑。

茉優子の身体にある…いくつかの傷…。
服で覆われた場所…人目につかない場所に残された、青いあざのようなもの…

まだ、最近できたばかりのようなものも、ある…
手首の少し上、あたりにも…  まるで縛られた後…かのような跡がうっすらと…

これは…まさか…   
いや、まさか… だが… もしかして茉優子は…旦那に… 

思い切って、尋ねてみようか……
いや…やめておけ、聞いたところでお前に何ができる…?
人の家庭にあまりにも踏み込み過ぎだ、清春…

自身の中に芽生える、もう一人の自分が、そうやって俺を、思いとどまらせる…。


俺は、頭に浮かんでは消えるその疑惑を、なんとか打ち消しながら、
茉優子の柔らかな髪を撫で続けた…。

 




















しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

砂漠の国のハレム

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:125

反芻

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:3

バツイチとビッチと愛人と

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,946pt お気に入り:7

【完結・R18】指切りげんまん

ミステリー / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:7

柔らかな愛情をきみに。

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:0

【完結】悪役王女は裏で動くのがお好き

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:236

【完結】やわらかに降る雨のように(作品231008)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

セリナの鞭とマミカの躯

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:8

処理中です...