【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

会社

「…　　君　…坂下君…！」
「は、はい…！！」
「…どうしたんだ、坂下君…　ぼうっとするなんて、君らしくないな…ひょっとして具合でも悪いのか？」

上司が俺の名を呼んでいたらしい…
俺は職場には顔を出したものの、どうにも集中できないでいた。

「あ…いえ、大丈夫です。」
本当は帰りたいところだが、今は仕事をしていた方がマシかもしれないと考え直す。

「そうか…？来週月曜の会議の資料、そろそろ準備しておいてくれないか…？事前に目を通しておきたいから…」
「はい…すぐに、」

とりあえず仕事だ…
まずは目の前の自分の仕事を片付けてからだ…
どうせまた、人の助けをすることは君の成長につながるなどと理由をつけられて、俺に他の職員の停滞している仕事を押し付けられ、そのうちまた…残業が続くに違いない…

真由のこと…あの奇妙な兄、哲也のこと…
考えなければならないことは山積していたが、
会社では…特に仕事中は、あまり考えないようにしよう…
このままでは、仕事に支障が出そうな気がする…。

俺は気持ちを奮い立たせて、目の前の仕事をただひたすら片付けることに没頭した。

その日の昼休み…
中庭で一人、コンビニ弁当を食べていると、一通のメールが届いた。

差出人は…　茉優子…石塚茉優子からだった…。　

俺はまるで若者のように、ドキドキとしながら、メールを開いた…。