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清春編
絆
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哲也が真由の頭を撫でながら微笑む。
「こら真由、子供みたいに拗ねるなよ…真由には俺もいるじゃないか…寂しいならいつでも呼んでくれていいよ…俺は独身で、特段することもないし…ああ…でもここは清春君の家でもあるからね…そんなことばかり、言えないか。」
俺は慌てて言葉を発する。
「いえ…お兄さん、そんなことないですよ…良かったらいつでもいらしてください。俺は帰りが遅い日が多いので、お兄さんがいてくれると真由が寂しがらずに済んで、逆に助かります…」
これは半分本音で、半分は社交辞令だった。
そんなに頻繁に来られても困る…哲也が家にいるだけで、一定程度の緊張を伴うのは事実だ…。
だがその一方で俺の帰りが遅い日に真由が一人で家にいる状態が続くと、この前の真由のようになりかねない…。
だから、半分半分…
俺にはその頃、そんな打算があったのかもしれない。
「そうか…ありがとう…では時々は、遠慮なくそうさせてもらうよ…じゃあまた、お邪魔したね、清春君。お休み真由…」
そう言って哲也は優しい表情を真由に向けて、その日は週末でもなかったためか長居することなく帰って行った。
真由を見る哲也の目…
哲也を見る真由の目… その…どちらにも… 深い、愛情が感じられた…。
やはり、真由と哲也の間には、俺が入り込めない絆がある…。
どこか、普通の兄弟とは違う…深い、何か…
漠然とそう感じた、夜だった…。
「こら真由、子供みたいに拗ねるなよ…真由には俺もいるじゃないか…寂しいならいつでも呼んでくれていいよ…俺は独身で、特段することもないし…ああ…でもここは清春君の家でもあるからね…そんなことばかり、言えないか。」
俺は慌てて言葉を発する。
「いえ…お兄さん、そんなことないですよ…良かったらいつでもいらしてください。俺は帰りが遅い日が多いので、お兄さんがいてくれると真由が寂しがらずに済んで、逆に助かります…」
これは半分本音で、半分は社交辞令だった。
そんなに頻繁に来られても困る…哲也が家にいるだけで、一定程度の緊張を伴うのは事実だ…。
だがその一方で俺の帰りが遅い日に真由が一人で家にいる状態が続くと、この前の真由のようになりかねない…。
だから、半分半分…
俺にはその頃、そんな打算があったのかもしれない。
「そうか…ありがとう…では時々は、遠慮なくそうさせてもらうよ…じゃあまた、お邪魔したね、清春君。お休み真由…」
そう言って哲也は優しい表情を真由に向けて、その日は週末でもなかったためか長居することなく帰って行った。
真由を見る哲也の目…
哲也を見る真由の目… その…どちらにも… 深い、愛情が感じられた…。
やはり、真由と哲也の間には、俺が入り込めない絆がある…。
どこか、普通の兄弟とは違う…深い、何か…
漠然とそう感じた、夜だった…。
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