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清春編
教室
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「thank you everyone!」
外国人講師が、笑顔で挨拶をする。
「ありがとうございました。また来週…」
英会話教室の生徒が、口々に挨拶をしながら教室を出て行く。
茉優子は急ぐこともなく、ゆっくりと筆記用具をバッグに詰めていた。彼女の所作にはなんとも言えない落ち着きがあって、いつも美しい。
時間は夜の7時。
確か今日、真由は夜少し出掛けると言っていた。
もし仮に、茉優子を今夜食事に誘ってもなんの差し支えもない…。
ただ、茉優子の方が差し支えの可能性大だろう…。
家で、夫が待っているのかもしれない。
俺は迷いながらも、「石塚さん…」と、とりあえず声を掛けた。
「はい?」朗らかにこちらを見て笑いかける茉優子。
なんだか…荒んだ砂漠のような渇き切った俺の心に、綺麗な水が染みていくような不思議な感覚を覚える。
「あの… あの、…もし無理なら全然いいんですが… あの…ですね、良かったら…また食事に、行けませんか…?」
「え…」小さな声…が、彼女の口から発せられる。
彼女の視線が、少し揺らいだ。
一瞬、驚いたのがわかった。
しまった…
やはりなかなか、既婚者である俺が、同じく既婚者である女性を一対一で食事に誘うのはハードルが高い……というか…彼女はもう既に、引いているかもしれない…
やはり、まずかったか…
「あ…えっと、すみません、やっぱり…」
俺が即座に撤回を申し出ようとした瞬間、
「はい。喜んで…!実は私も、また行きたいと思っていました…。でも…よろしいのですか…あの、ご家庭とか、色々…」
茉優子の返事に驚きながらも、内心は心が躍る。
勇気を出して誘った相手に、実は自分も行きたいと思っていたなんて言われて、喜ばない男がどこにいるだろう… 社交辞令にしても嬉しい…
顔がだらしなくにやけそうになるのを必死に抑えながらも、俺は冷静に答える。
「ああ…ウチは全然…妻は何も気にしませんし、前もって言っておけば食事なんていつでもいけるもので…」
そう言って、自分はいつでも行ける体制だとアピールしてしまう俺…
この年になって、一体何をやっているんだと自分を笑いたくなる…。
しかも、
結婚しているのにも関わらず…だ…。
外国人講師が、笑顔で挨拶をする。
「ありがとうございました。また来週…」
英会話教室の生徒が、口々に挨拶をしながら教室を出て行く。
茉優子は急ぐこともなく、ゆっくりと筆記用具をバッグに詰めていた。彼女の所作にはなんとも言えない落ち着きがあって、いつも美しい。
時間は夜の7時。
確か今日、真由は夜少し出掛けると言っていた。
もし仮に、茉優子を今夜食事に誘ってもなんの差し支えもない…。
ただ、茉優子の方が差し支えの可能性大だろう…。
家で、夫が待っているのかもしれない。
俺は迷いながらも、「石塚さん…」と、とりあえず声を掛けた。
「はい?」朗らかにこちらを見て笑いかける茉優子。
なんだか…荒んだ砂漠のような渇き切った俺の心に、綺麗な水が染みていくような不思議な感覚を覚える。
「あの… あの、…もし無理なら全然いいんですが… あの…ですね、良かったら…また食事に、行けませんか…?」
「え…」小さな声…が、彼女の口から発せられる。
彼女の視線が、少し揺らいだ。
一瞬、驚いたのがわかった。
しまった…
やはりなかなか、既婚者である俺が、同じく既婚者である女性を一対一で食事に誘うのはハードルが高い……というか…彼女はもう既に、引いているかもしれない…
やはり、まずかったか…
「あ…えっと、すみません、やっぱり…」
俺が即座に撤回を申し出ようとした瞬間、
「はい。喜んで…!実は私も、また行きたいと思っていました…。でも…よろしいのですか…あの、ご家庭とか、色々…」
茉優子の返事に驚きながらも、内心は心が躍る。
勇気を出して誘った相手に、実は自分も行きたいと思っていたなんて言われて、喜ばない男がどこにいるだろう… 社交辞令にしても嬉しい…
顔がだらしなくにやけそうになるのを必死に抑えながらも、俺は冷静に答える。
「ああ…ウチは全然…妻は何も気にしませんし、前もって言っておけば食事なんていつでもいけるもので…」
そう言って、自分はいつでも行ける体制だとアピールしてしまう俺…
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