【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

朝食

相変わらず、仲が良いな…。

普通は男女の兄弟なんてものは、

普段から好きなように文句を言い合って…もっと激しく言いたいことをいいながら口喧嘩して、時に、叩き合ったりしてっていう…少し、男的な…もっとドライなものかと、俺は思っていたのだが…

どうやら、真由と哲也はそれに当てはまらないようだ。

とにかく、お互いがお互いを愛情深く…優しく包み込んでいるかのような… 二人のことを知らない人間から見たら、まるで本当に美男美女の恋人同士のような…
特に哲也の真由に対する視線は異常なほどに優しく…

まあでも…そうか…

俺は思い直す。

真由と哲也の境遇は、普通の兄弟とは違う…。

そもそも母親が違うし…その両親も突然の交通事故で帰らぬ人となったと聞いている。
保護する大人がいない状況で、兄弟で力を合わせてここまで成長してきたはずだ…。
それはもう、ごく普通になんの苦労もなく育ってきた兄弟とは結束力が違うに違いない…。

俺は着替えと髪のセット、全てを済ませてリビングへ戻る。

テーブルには、数々の色鮮やかな料理が並んでいた…。しかも、珍しく和食じゃないか…
「清春さん… もう、準備OKだよ！座って。」
真由が嬉しそうに微笑みながら俺に声をかける。

哲也のおかげで、俺の今日の朝食はこんなにも豪華だ…

今日だけは、いつものパン祭りではない…
そんなことを頭の中でちらりと思いながらも、
「すごいね…美味しそうだ…」

そう言って、俺は椅子にゆっくりと腰掛けた。