【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

寝息

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哲也の首が、前に倒れている…


もしかして、眠っているのか…?


だが、なんだか… それは…  その姿は、
その、角度は… …

とても奇妙な… 角度、に思えた…。

後ろからなので、何も見えないが…

その姿はまるで…  
真由に… 真由に、 触れているような…

まさかとは思うがたとえば…キス…を、しているかのように…

俺の目には、映った…

いや、…まさか…   さすがに、仲が良くても…  な… 
キスは、ないはずだ… 

「…お… お兄さん… あの… 」
俺は目の前の情景に少しの違和感のようなものを覚えつつ、恐る恐るではあるが… 
背後から、哲也に声をかける。

俺の声にピクリと反応して…
むっくりと哲也の首が、元の位置に戻っていくさまが…
まるで、スローモーションのようで… 背筋がなんとなくゾクリと、した…。

「…ああ…清春君、早かったね…もう、上がったのかい…?もう少しゆっくりでも全然、良かったのに…」

そう言って、ゆっくりと長い首をねじって俺を見上げ、哲也はふふと、笑った。

「あ… あ…  いえ、これでもゆっくり…入ったつもり、でしたが…あの…シャワーも良かったらどうぞ…布団もすぐに敷きますね…ちょっとお待ちください…。」

「ああ…ありがとう…」
再び、哲也は真由の髪をゆっくりと…撫で始める…。
「んっ… ん … ふ…」 
すーすーすーすー … … …

少し身じろいだのか、声を出したその後に…真由の、いつもの規則的な寝息が聞こえる…。

何だろう…

何かが、 …何かが、俺に訴えかける…   

だが…    何かが、   何かに、かき消される…

俺は違和感の正体をつかめないまま、

布団を出すために、
和室の押し入れの襖を

     そっと、開けた…



  














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