【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

個室

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「ここは、時々職場で利用するんですけど、すごく刺身が新鮮で美味いんですよ…」

俺は茉優子とともに、会社で良く利用する和食が美味いと定評のある店に来ていた。

トンテキの店は茉優子も常連で、実は俺も、たまに行っている店だ。
せっかくの茉優子との初めての食事にわざわざそこに行く必要もない。

「そうなんですね…私は初めてきましたが、実は前から気になっていたお店なんです。こんな個室があるなら落ち着けてとてもいいですね…」

「はい…この個室が特に気に入っているんです。あまり人が通るところだとざわざわして落ち着かなくて…」
俺が頭を触りながらそう言うと、

「ええ、わかります…私もこんな感じのところで人に見られず、静かに食べる方が性に合ってます。根暗な者で…」

茉優子はにこりと微笑む。その笑顔に一瞬、ドキリとするが俺は普通に頷く。

「石塚さんは、根暗じゃないと思いますよ…根暗と言えば僕です、基本一人が落ち着きますし、こんな店の個室…暗い場所がなんとも落ち着くんですよね… 照明とかも落とされていてなんとも居心地が良くて…。」

「そうなんですね!わかります!!私も暗いお店が好きなんです…たとえば白い壁、明るい照明の、解放的な感じのブランドの洋服のお店なんて絶対に入りたくなくて… 肌の細部が見えてしまうでしょう?この歳ですし、服を合わせるためにあんな感じのお店で鏡の前に立つのも嫌で仕方ないんです…。
いえ、若い頃から苦手でしたけどね、明るい照明のお店は…ふふ」
茉優子はふわりと微笑む。

この笑顔は、まずい… 何かが、…俺の本能の何かが俺に訴えかける…。

それにしても
白い壁、明るい照明の開放的に見える店…

真由がよく、足を運ぶブランドの店がそんな感じだ…。

実は俺も苦手だった… 
明るすぎて、俺の内面が全てさらけ出されていくような、気恥ずかしい気がしてくるのだ…。

「なんだか僕たち…すごく、似てるかもしれないですね… ささ、料理が来ました。早速いただきましょう。」
「美味しそうですね…では、いただきます…!」
また、茉優子の純粋な笑顔が…綺麗な目が、俺の胸を打つ。

ああ…  なんだか、楽しい…ワクワクしてくるこの…気持ち…
こんな時間…こんな感覚は、いつぶりだろうか…

俺は茉優子が時折見せる美しい表情や所作を盗み見るようにしながら、食事をすすめた…。










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