128 / 544
清春編
トンテキ
しおりを挟む
「お疲れ様でした…」俺はぼそりと呟いて、オフィスを出ようとしていた。
その瞬間、
「お…!坂下くん、今日は珍しく早いな~奥さんと外で約束か…?」
そう、上司に声を掛けられる。
今日は早いって、なんだ…
いつも、あんたがろくに見ない部下の面倒とあんた自身の仕事のフォローで
俺は毎日、残業しているというのに…
そんな風に、どんなに内心で思っていても、俺は決して言葉にはできない。
「… あ、いえ…まあ、はい、ちょっと今日は用事があって。」
「そうかそうか~たまには早帰りも必要だよな?お疲れ」
「…失礼します…。」
早帰りではない… 単なる定時上がりだ…これも内心の声。
俺は軽くお辞儀をして、その場を早々に立ち去る。
つかつかと外を歩きながら、つくづく自分は損な性格だなと思う。
仕事を頼まれたらうまく断ることもできず、気付けば笑顔で承諾している自分がいる。
「ああ… 今日、何食べて帰ろうかな…。焼き鳥…牛丼… んー…」
また、独り言が出てしまった…。
ふと、一軒の店が目に入る。
トンテキの店… ?
店の看板の豚のロゴがなんとも可愛らしく、今時のお洒落な外装だ。
店内を覗くと、客も多いが、お一人様向けのカウンター席が結構空いているのに気付く。
「よし…たまには新しい店を開拓するか…。」
俺はそう呟いて、店ののれんをくぐり、店の隅、一番端っこのカウンター席に座った。
その瞬間、
「お…!坂下くん、今日は珍しく早いな~奥さんと外で約束か…?」
そう、上司に声を掛けられる。
今日は早いって、なんだ…
いつも、あんたがろくに見ない部下の面倒とあんた自身の仕事のフォローで
俺は毎日、残業しているというのに…
そんな風に、どんなに内心で思っていても、俺は決して言葉にはできない。
「… あ、いえ…まあ、はい、ちょっと今日は用事があって。」
「そうかそうか~たまには早帰りも必要だよな?お疲れ」
「…失礼します…。」
早帰りではない… 単なる定時上がりだ…これも内心の声。
俺は軽くお辞儀をして、その場を早々に立ち去る。
つかつかと外を歩きながら、つくづく自分は損な性格だなと思う。
仕事を頼まれたらうまく断ることもできず、気付けば笑顔で承諾している自分がいる。
「ああ… 今日、何食べて帰ろうかな…。焼き鳥…牛丼… んー…」
また、独り言が出てしまった…。
ふと、一軒の店が目に入る。
トンテキの店… ?
店の看板の豚のロゴがなんとも可愛らしく、今時のお洒落な外装だ。
店内を覗くと、客も多いが、お一人様向けのカウンター席が結構空いているのに気付く。
「よし…たまには新しい店を開拓するか…。」
俺はそう呟いて、店ののれんをくぐり、店の隅、一番端っこのカウンター席に座った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
70
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる