【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

朝食

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ああ…

朝は普通の…ごく普通の朝食… 和食を食べたい。

白いご飯に豆腐の味噌汁…
あとできれば納豆とか卵焼きとか…そんなものでいい。

いやもはや、贅沢は言わない。
ご飯と味噌汁だけでも良いくらいだ。
あとは勝手に冷蔵庫を開けて、漬物やら自分で準備するからと、心の中で思う。

俺はテーブルに並べられたいくつかのパンの袋を見つめて、ため息をつく。

我が家の朝食はほぼ毎日、セルフサービス形式。
良く言えば、パン祭りだ…。

ロールパンやクロワッサン、菓子パンなどが数個ずつ入ったパンの袋の中から自分の好きな種類のパンをとって、皿に盛る。

飲み物は自分で、牛乳か、オレンジジュース。
たまにアイスコーヒーの紙パックが冷蔵庫に入っていることもある。

基本的に、おかずはない。

最初の頃はベーコンエッグとかサラダ…手作りのバナナジュースなどがテーブルに並んで、
一人暮らしできちんと朝食を摂っていなかった俺は感動し、本当に幸せだなと思っていたが…

ああ… 

今日はどのパンにしようか…。
飽きたな…なんだかどれも…食べたいと思えない…。

いやいや、駄目だ…。

世の中には飢えや、突然勃発した思いもよらない戦争などで命の危険にさらされ、
食べられない人がごまんといるのだ…。

「今日は…これにしよう…。」

俺はクロワッサンと小さなメロンパンを一個ずつ袋から出して、皿に盛る。

「…甘… うん… うまいな…」俺はゆっくりとパンをかじりながら独り言のように呟く。

食べた後、自分の使った食器を洗い、身支度をして一人、家を出る。

「…今日こそは、仕事がさばけたら、どこかに寄ってご飯でも食べて帰ろうかな…。」

駄目だ…最近…独り言が多いな…   
自覚はあるが、気付けば声に出てしまっているような状態だ…。

俺は少し虚しい気持ちを抱えたまま、会社へ向かった。

だが、その日の夕方…

俺は自分の人生の転機ともいえる女性との、出会いを果たすことになる。

      石塚茉優子…

とても控えめで、所作が美しい女性だった。





































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