【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

生活

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「お先に失礼します。」

挨拶をして、職場を後にする。
今日は珍しく、定時にあがれた。
俺はどこにも寄ることもなく、まっすぐに帰宅する。

玄関のドアを開けると、シンとした室内。

またか…
また真由は、出かけているのだろうか…。

暗い廊下を進んでリビングのドアを開けると、やっぱり誰もいない。

もう時間にして、7時を過ぎている。
携帯を見るが、特に連絡はない。

俺はため息をつきながらそのまま自室に直行する。

カバンを椅子に置き、スーツを脱いで、シャツのままベッドにごろんと寝転ぶ。

ああ…

最近、仕事が立て込んできていて、正直身体が辛くなってきた。

自分の仕事はほぼ時間内に終わるものの、後輩や上司の業務のフォローをすることに時間を取られ、最近は残業が続いている。大体指導係は俺ではないのに、最近俺ばかりに仕事を振られている気がする…。

しかし、後輩も可哀想だ…
自分の直接の指導係がよりにもよって、見るからにいかつい伊藤…仕事を気軽に聞けるようなタイプではないし、彼はピリピリとした独特のオーラを持っているから…さぞ、異動してきたばかりの後輩には、荷が重かろう…。

ああ…俺も俺で、何も上に、主張できないので、現状維持…耐えるしかない…。

それにしても…
真由はまだだろうか…
さすがに、腹が空いた…。

俺はムクリと起き上がり、再びリビングへ向かう。

はあ…
   雑然と、散らかった部屋…。

俺が平日、時間を見付けて整理しても…
 土日に何度、徹底的に片付けても…

     なぜ、こうなるんだ…?

流しには、朝食の汚れた皿がそのまま放置されている。
テレビの前のテーブルには飲みかけであろうコーヒーのカップ…開けた後の菓子の包み…


結婚と同時に、寿退社した真由。
一日中家にいるのに、なんでこうなるんだ…。

洗い物は、そこまで時間を空けずに洗って欲しい…
ゴミは、ゴミ箱に捨てたらいいのに…
脱いだ衣類はきちんと、洗濯機の中へ入れてくれ…
また通販で買ったのか段ボールも未開封で置かれたままだ…。

一度も口には出していないが…
その頃の俺は、不満でいっぱいだった…。

ガチャリ…   不意に、ドアの音。

「あっ!!…清春さん、珍しい!今日は早かったのね…」

廊下の先のドアが開き、真由がひょっこりと顔を出す。
ビニル袋と、デパートの紙袋をいくつか手にしているのが見える。

またか…   今日はいくら、使った…?
俺は心の中でため息をつきながら、

「真由…おかえり…」とだけ、口にした。



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