100 / 544
清春編
彼女の誘い
しおりを挟む
それから数日してからのこと。
「坂下さん、今日も残業ですか?」
夕方6時を回る頃、栗原真由が俺に尋ねてきた。
「あ…はい、そうですね、もうちょっとなのでやって帰ります。お疲れ様でした」
俺は真由にそう返し、再びパソコンの画面に視線を移す。
「あの…私も仕事、結構残ってるんです…あのもし良かったらですが、一緒に夕飯食べて帰りません?お酒でも、いいんですけど…」
「え…っ? …えっと…二人で、…ですか?」
「はい…二人じゃ、何かだめですか…?」
「いえ、だめってことじゃ…ないですけど…」
真由と二人で食事に行く…
それは、本当に初めてのことだった。
真由は何かと俺に声をかけてくれ、他の人よりは自分に懐いてくれているような気も、やはり少しはしていたが、まさか…食事だなんて…。
俺は動揺して、次の言葉をスムーズに出せないでいた。
「5・4・321… はーい、時間切れ。ふふ。じゃ、決まり!ですよ…。坂下さんの仕事、終わりそうになったら言ってください。私、お店探しておきます~」
「え…!?… あ…はい。」
返答するまでもなく、明るい真由のペースに飲み込まれてしまった。
二人きりとなるとかなりの緊張感があるが、この前同僚に頼まれたことを聞ける良いチャンスだとも思った。
頼まれてはいるものの、なかなか勤務中に唐突に彼女に、彼氏はいるのか、好きな人は?などと聞けるほど、俺の神経は図太くもない。
俺は仕事を早々に片付けるべく、指を走らせたが、仕事が終われば、真由と二人きりで食事に行く…
行こうと決めた動機はともかく、その事実が、
俺を極度に緊張させ、
高揚させたことは言うまでもない。
「坂下さん、今日も残業ですか?」
夕方6時を回る頃、栗原真由が俺に尋ねてきた。
「あ…はい、そうですね、もうちょっとなのでやって帰ります。お疲れ様でした」
俺は真由にそう返し、再びパソコンの画面に視線を移す。
「あの…私も仕事、結構残ってるんです…あのもし良かったらですが、一緒に夕飯食べて帰りません?お酒でも、いいんですけど…」
「え…っ? …えっと…二人で、…ですか?」
「はい…二人じゃ、何かだめですか…?」
「いえ、だめってことじゃ…ないですけど…」
真由と二人で食事に行く…
それは、本当に初めてのことだった。
真由は何かと俺に声をかけてくれ、他の人よりは自分に懐いてくれているような気も、やはり少しはしていたが、まさか…食事だなんて…。
俺は動揺して、次の言葉をスムーズに出せないでいた。
「5・4・321… はーい、時間切れ。ふふ。じゃ、決まり!ですよ…。坂下さんの仕事、終わりそうになったら言ってください。私、お店探しておきます~」
「え…!?… あ…はい。」
返答するまでもなく、明るい真由のペースに飲み込まれてしまった。
二人きりとなるとかなりの緊張感があるが、この前同僚に頼まれたことを聞ける良いチャンスだとも思った。
頼まれてはいるものの、なかなか勤務中に唐突に彼女に、彼氏はいるのか、好きな人は?などと聞けるほど、俺の神経は図太くもない。
俺は仕事を早々に片付けるべく、指を走らせたが、仕事が終われば、真由と二人きりで食事に行く…
行こうと決めた動機はともかく、その事実が、
俺を極度に緊張させ、
高揚させたことは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる