【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

文字の大きさ
上 下
95 / 544
清春編

出会い

しおりを挟む
「初めまして…石塚茉優子まゆこと申します。えっと…あの、英会話に通うのは初めてです…色々慣れませんが、よろしくお願いします…」

彼女は黒板の前ではにかむように挨拶をし、静かにお辞儀をして、自分の席に着いた。

控え目で、大人しそうな人だな…

それが、俺が茉優子に抱いた第一印象だった。

俺は仕事帰りに、週に二回位の頻度で駅前の英会話教室に通っている。

通い始めたきっかけは仕事にほかならない。

取引先の外国人との会話がうまく成り立たない…早口の発言が聞き取れない… 
そんな、仕事においては望ましくない場面が何度もあり、いつしか英語を読み解く能力を…特に、会話能力をもう少し堪能にしたいと考えるようになった。
自分の成長のために、そして一種の気分転換のために、始めたのがきっかけだった。

実際に半年間通っただけでも、ヒアリングがしやすくなったのは収穫だった。
お陰で職場でも仕事の幅が広がり、段々と評価されていくようになった。

教室は大体7~8人編成で、月に二、三人位のペースで、教室を見学したり、新しく入会してくる人がいた。
レベルに応じてクラスや曜日を選べる柔軟な教室で俺もまあまあ気にいっていた。

石塚茉優子という女は、華奢な身体つきで…黒とグレーの地味な…よく言えば、シックな服装で… 白い顔が際立つ女だった。

初日にたまたま俺の隣の席に座った彼女からは、香水だろうか…花のような、いい香りがした…

「初めまして、よろしくお願いします。」女は俺の方に向き直り、ペコリと挨拶をしてくる。

「ああ…どうも、坂下といいます、半年ほど前に入会しました、まだ全然上達はしていませんが、こちらこそよろしくお願いします。」

女は頷きながら、その身に柔らかな雰囲気をまといながら、ふわりと微笑んだ。

名前…呼び名は妻と同じだ…
だが、妻とはタイプが、全然違うな…

俺が茉優子に抱いた最初…
初対面の時の印象は、せいぜい、…そんなものだったのに…

いつしか俺は、 

左手の薬指にきらりと光る指輪をした彼女を、目で追うようになった…。
























 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...