【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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帰宅

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帰りの電車にどうにか、乗り込む。
8時過ぎ…まだまだ電車内は混んでいたが、身体が辛くてボックス席のひとつだけ開いている席に座る。

即座にラインを開き、夫からの連なるメッセージを既読にする。

『ごめんなさい…仕事のトラブルで突然残業になって…連絡する時間すらなくて…ごめん、今日は出前でも頼んでて…着くのが9時近くにはなりそうだから…』
すぐさま考えていた、言い訳を打ち込む。

その後…すぐに既読になり、返事が来る。

『っちっ…それならそれで、連絡くらいしろよ…こっちは状況わからず、イライラすんだろーが…飯はもう、食べた…出前とったから…もういいわ』

空腹が満たされたのか、少し落ち着いた内容の返事が来て、心底ほっとする。

これから帰宅して、夫と喧嘩など…もう、する気力も体力も…私には残っていなかった…

頭も段々と冷静になり、今度は携帯を確認する。

今日の午後に1通だけ…おそらく男といた時間に…1通だけ、清春から連絡が来ていた。

男に盗聴されたであろうあの夜に清春と会って以降、再びしばらくの間、清春と連絡が途絶えていたのだ。

こちらからの連絡は控えていたのだが、やっと、仕事が落ち着いたのだろうか…
もしくは、清春の妻のことで…何か私に…?

ともかくも今日、私に起きたことをできるだけ早く清春にも知らせねば…本能で、そう感じた…。

真由の兄である男の脅迫と…盗撮、盗聴… これからの選択肢…
私にされた淫らな…行為と… 色々がないまぜになり…頭が混乱していた…

メッセージを開くと、こう書いてあった。

『すみません…ここ数日携帯の調子が悪くて連絡遅くなりました。落ち着いたらまたこちらから、連絡します』
ただ、それだけの連絡だった…。

タイミングが悪い…
今すぐ、土曜日までに清春に話をしたいと思っていた私は、肩透かしを食らったような気になる。

たまらず打ち込む。

『…坂下さん…私、すぐに話したい…相談したいことがあります、色々と…」

送信ボタンを押すが、すぐに既読にはならない。

ああ…とりあえず、家に帰ろう…。

私は肩を落として…痛む身体を引きずるようにしながら、自宅最寄り駅のホームに降り立った。



















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