【完結・R18】鉄道の恐怖

夫の怒り

…慌てて再び起き上がろうとして、
いまだ全裸なのに気付き…シーツを巻き付ける様にして、バッグを置いている場所まで移動し、携帯を取り出す。

「おやおや…いまだに身体を隠すんですね、もう全て…貴女の奥の奥まで…全て見ましたのに…可愛らしい人だ…」

男の揶揄する言葉を無視しながら、スマートフォンを見ると、既に夜７時を過ぎていた…

ゾッとする…今から身支度をして帰っても、９時近くにしか自宅につかない…

ラインを開くと、夫から…何個も、連続してメッセージが残っていた…
未読にしたままで読める、最後のメッセージの頭だけを読むと…

『ふざけんなよ…おまえ…何してんだよ…飯は…ま』

恐らく、飯はまだか…　と続くのであろうが…
そこで途切れていた…　

連絡なしで、この時間…食事などの準備もなく…夫の怒りが頂点に達しているのは間違いない。

「あ…あのっ…！」思わず声が出る。

「今日は…帰って…い…いですか…夫が…すごく…すご…く…怒って…いて、早く…帰らないとっ…」

男が笑う…。

「…そうでしょうね…貴女の旦那は、短気なようだ…さっきから何度も携帯が震えていたから気になっていました。
今日は、帰っていいですよ…？ただし、２日。
…２日以内に結論を出してください。今週末の土曜日に今日行ったあのカフェに朝９時…お待ちしていますよ」

男が突然立ち上がり私の方へ近寄る…ビクンと身体が震える…。

「選択肢は二つ、説明した通りです。良いお返事、お待ちしています…」

顔を近づけられ、不意打ちのように顎をつかまれ噛みつくようにキスをされる…
「あっ…んっン　んんんっ…う　んン」

くちゅくちゅと音が出るほどに激しく舌を絡められ、息が止まりそうになる…
口内を余すところなく蹂躙し尽くし、男が唇をゆっくりと離す。

「…ここの清算は済ませていくので、身支度をして帰ってください…
くれぐれもお身体に気を付けて…貴女、もう少し自信を持った方がいい…とてもイイ…身体でしたよ…ご馳走様でした…」


そう言い残し、バタンと音をたてて、ドアが閉まる。

ああ…　もう…何もかもが…　　


いや…今、考えている時間はない…早く帰宅して、夫に弁明せねば…とんでもないことになる…

私は疲れ切った身体になんとか鞭を打ちながら、バスルームへ急いだ…