【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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思い出

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「真由が大学生になったばかりの年に…両親が二人で温泉旅行に行くことになりました。

それまで、私と真由の学費を捻出するために必死に二人は働いてくれていましたので申し訳ない気持ちもあって…ある時、私が提案したのです。

少しは親孝行みたいなことをしようと真由に持ち掛け、一緒にサプライズで二人に何かプレゼントしようって…揃いのアクセサリーにするか…それとも何か記念に残るイベントを企画するか…などと、しばらく考えました。

ですが結局、私は真由が出した案に賛同し、二人に温泉旅行をプレゼントすることになったんです…
それまで4人で家族旅行に行くことはあっても、私が記憶している限り、二人で旅行などには行っていないと思ったものですから…」

男は続ける。

「5月の連休の最初の日の朝、二人がとても幸せそうに、家を出て行ったことを覚えています…そしてその日の夜

『お兄ちゃん、夕飯は何にする…?今日くらい、ぱ~っと、出前でも取ろっか…?お父さんとお母さんも贅沢してるだろうから、今日くらいは良くない?私、作ると大体失敗するし…お母さんみたいに上手に作れる自信ない…』

真由はおどけながら、確かそんな風に話しました。

「私は笑い『そうだな…出前にしよう…今日くらいは、俺たちも楽しようか…』そんなことを言いながら、二人で確か寿司か何か少し普段より豪勢な食事をして、夜二人で、ホラー映画みたいなものを観た記憶があります…。私は好きではありませんが、真由が観たがったものですから…。」

男がまた…遠い目をする…。

当時の事を、思い出しているようだ…






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