【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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妹か、女か

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「私はその父の再婚相手…名前は志穂さんと言いますが、志穂さんにもすぐに懐きました…
彼女は幼い私に、母を失った私に…とても優しかった…まるで本当の母のように…いえ、本当の母以上に、私を可愛がってくれたのです。

真由が生まれる前も…もちろん、生まれた後も…私とは血の繋がりがないにも関わらず…本当に、自分の本当の子供である真由と、分け隔てることなく…」

男が遠い目をしながら、語り続ける。

「私は…幸せでした。本当の母は、自分勝手に家を出ていきましたが、残された父と私と、志穂さんと、宝石のように可愛らしい真由と4人で始まった新しい家族の形…あの頃、私は最高に幸せだったのです。」

男がさらにワインをグラスに注ぐ…。
飲み過ぎではないか…、少し心配になるがもちろん口には出さない…

一口飲み、
「貴女もいかがですか…?私の身の上話…つまらなくないですか…ふふ…」
男が自嘲気味に笑う。

「…結構です…」本当は恐怖で少し喉がひりつくように渇いてはいたが…私はそう答える。

「つまらないな…俺ばかり酔いそうだ…まあ、いいでしょう…続けます。
その後、真由は…すくすくと育ちました…本当に真っすぐに…性格に歪んだところもなく…素直に…真っすぐに…そして恐ろしいほどに…美しく魅力的に…そして、奔放に…」

私はハッとして男を見る…。

男は、妹である真由を、確かにさっき愛していると言い切った…
それは…兄が、正真正銘、兄として…妹を愛するという意味なのか…

もしくは…男が女を愛する…そういう、つまり恋愛感情…のようなものなのか…

男が笑う…
「貴女…今、必死に私の感情を推し量っているみたいですね… 

私が、異母兄弟の妹である真由をどう思っていたか…とか、そういことですよね…」

「もちろん私は…真由を『妹』として、見ていましたよ…兄と妹として。小さいころから当然に普通に…。

でも…一つ屋根の下で一緒に育っていく中で…私に対してあまりに無防備で懐っこく…開けっ広げな真由を目の前にして…私の中に、おかしな気持ちがどんどんと膨らんでいきました…

もちろん、父は同じです…半分は血の繋がりがある、紛れもない兄弟だ。
何度も気持ちを抑えようと、私は必死でした…でもある時、その気持ちが抑えられなくなってしまった…」


やはり…そう、なのか…                           

私は思わず、男から目を逸らした…。








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