【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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女の勘

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「い…いやっ…離して…っ…」
私は必死に男の腕を振り払おうとするが、細身の男とはいえ思ったより力が強い…。
全く腕を振りほどけず、そのまま必死に男を睨みつける。

「早く…話を進めてください…個室にいるからって…おかしなことを口走らないでくださ…いっ…痛っ…!」

男がギリギリと…私の二の腕のあたりの肉を…さらに強い力でつかむ。

「い…痛い…です…腕…離して…な…なんでこんなっ…こと…あぁ…」声が…力を失っていく…

「ああ…可愛い人ですね、本当に貴女は…自分が今日…無事に家に帰れると信じて疑わない…」
男が私にさらに顔を近づけて、いやらしい目つきで笑いながら続ける。

「でも…安全に帰れるなんてそんな保証、どこにあります…?今、貴女がいる場所は、ホテルの一室…密室ですよ…?私がたとえば本気を出して…貴女を…男の力で押し倒して、抑え込んで…どうこうする…なんてことは、いたって簡単なことだ…。わかりますか…私の言っている意味…?」

男の言うことは…本当にもっともだ…

得体の知れない男に…自分が気を失っている間にホテルの一室に連れ込まれ…しかも、弱みを握られている…

この男の言うように…今、これから何をされてもおかしくない状況なのだ…
電車内で既に男は…私の身体の一部に何度も触れてきているのだ… 油断はできない…。

「や…やめて…私は人の妻…ですから…おかしなことを考えないでください…そんなことより…どうか、お願いです…話の続きを聞かせてください…」そう言って男の腕をやんわりと両手で覆って引き離す…。

「ふ…。やっと理解できたようですね…貴女が今日…無事に帰れるかどうかは全て…私の手中にあります…そのことを忘れないでくださいね…では…続きを話しましょうか…。」

男がやっと…私から少し距離を取ってソファーにゆっくりと座りなおす。

「清春が貴女と通じ合ったところまでは話しましたよね…?
それから程なくして…真由は清春に違和感を覚えたそうです…清春の態度や…携帯電話の管理の仕方…セックスの頻度…これまでの清春と何かが違うと…そう…思ったようです。」

女の勘は鋭い…そういうことなのかもしれない…

私の夫にも…清春の妻、真由にも、
不倫がバレていないと思いこんでいた私は…ゴクリと唾をのんだ…。
















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