【完結・R18】鉄道の恐怖

男の説明

「さて、まずなにからお話ししましょうか…貴女が不倫していることまではいいですね。そこは貴女も認めているところですし…まずはそうだな…その相手の話からしましょうか。」

男が手にしていた珈琲カップを置いて、腕を組む。

「多分当事者の貴女にとってはわかりきった説明もあるとは思いますが、取り敢えず我慢して聞いてくださいね…

貴女の不貞行為のお相手は、坂下清春、年齢は40位でしたかね…結婚しているが、いまだ子供はいない。

妻である坂下真由とは自身が勤めている会社で出会い、そこでお互いに好意を持ち、交際してわずか半年で結婚。確か今年で結婚五周年…ああ、そうだ、婚姻期間は貴女のところとほぼ、同じくらいですよね…おめでとうございます…ふふ。」

私は無言で、男の説明を聞いていた。

私の不倫相手の坂下清春と、坂下の妻、真由との出会いは、確かに勤務している会社だったと随分前に聞いたことがあった。結婚年数に関しても、男の説明と清春の説明は同じだった。

「清春と真由の夫婦関係は、新婚当初のそれとは違うものの…それなりにうまくいっていたんですよ…。

貴女もご存知のとおり、清春は親切で、とても優しい男ですよね…本当に誰に対しても平等に…接することができる…そんな男だ。」

「ここで言うのもなんですが、私なんかは自分が興味を持った対象…その相手にしか、絶対に優しくできない…いや、優しくとは限らないんですがね…ふ…

だから密かに、誰に対しても優しく接することができる清春という男は…すごい男だなと…そう、思っていたんですよ…なにしろ彼は、道端で何やら困っている初対面の老人にも、自分から声をかけて助けるような、親切で愛情深い…そんな男、ですからね…」

清春の性格を、きちんと把握し詳細に説明するこの男…この男は一体…清春のなんなのか…

単なる知り合いか、友人か…職場の同僚か…？

さっぱりわからない…

　　　　　　　
　　　　　さらに、男は続ける。