【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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屋内

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男が連れて行ったそこは、ごく普通の少しレトロな喫茶店だった。

モーニングの時間帯だからか、席には少し客もいて、私はほっと…胸をなでおろした。
二人きりの個室など、危険な場所ではない…そのことが、本当に私を安堵させた。

「お二人様ですね。お好きな席へどうぞ…」

愛想のいい女性の店員がメニューを置いて去る。

「お先にどうぞ…」男が私にメニューを差し出す…

本当は、電車に乗車してから1時間以上にもわたった緊張と恐怖の連続で、食欲も何もない状況だったが、喉だけが異常に渇いていたことに気付く。

「アイスコーヒー…を…」とだけ、答える。

「貴女は…いつもアイスコーヒーなんですね、夏でも、少し肌寒くなった秋でも…」…そう、男が言葉を発する。

なぜ…そんなことを、この男は知っているのか…

私は背筋が凍る思いがしながらも、押し黙っていた。

「ああ…そうそう、私が注文しておきますので、職場へ連絡してきていいですよ…?ああ、もちろん荷物は置いたままで…念のため言っておきますが、私は貴女の住まい…ほか、全てを知っています。今、逃げたって同じ…ずっと、追いかけますから…だから戻った方が、おそらく賢明です。それでは、どうぞ…」

住まいを…知っている…? 
やはり…そう…か…実は既にうっすらと…そんな気がしていた…

この男は、きっともう、全てを見透かしている…全て知られている…私の罪も全て…





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