【完結・R18】鉄道の恐怖

決意

「や…やめてっ…っ…ください…っ…こんなところで…っ！」小声で叫ぶ。

私は男の手を上からつかんで引きはがそうとする。

「こんなところ…？
今はこんな世の中…。私が今、貴女にしていることに仮に誰かが気付いたとしても、それを正面から私に指摘したり、通報するものなんて、多分、万に一人もいませんよ…？わかるでしょう…？

皆、自分が可愛いんですよ…見て見ぬふり…他人のすることに口を出して、逆に変な言いがかりをつけられたり、自分が危険な目に遭う位なら、気付かないふりをして、スルー…。
今の世の中…そんな人達ばかりじゃないですか…？　ふふ…」男は笑いながら、私を見る。

「あ…、もしくは、プレイ…そんなプレイを、もしかしてカップルでやってるのかもしれない…なんて考えて、助けるのを躊躇する人間も…いるかもしれませんね…　それこそ、邪魔すんなって言われたら恥ずかしくてたまったもんじゃないですよ…指摘した側は…　まあ、人の考えは様々ですから…まあ、いずれにしろ…」

触っていた男の手の力が、さらに強くなる。「痛っ…！あ…　、ん…っ…」

「もう、貴女は私からは、逃れられないと思いますよ…　残念でしょうが…仕方のないことです…さあ、…そろそろ到着しますよ…　答えてください…あなたのした、悪いこと…」

男が口元では笑いながら、
サングラスの奥から…蛇のように睨んでいるような気がして、背中を冷たい汗が伝った…

もう、この奇妙な男からは、逃げられない…　
たとえ答えても、逃がしてくれる気があるとは、とても思えない…

でももう、今は答えるしかない…　


私は意を決して、口を開いた…

　　　　　「私は　…………　」