【完結・R18】鉄道の恐怖

翌日

翌日、

私はまた、同じ時間に家を出た。
いつもと同じ道を通って駅へ向かう。

あの男は、また…ホームにいるのだろうか…

昨日、震えるほどに怖かったのは事実だが、自分自身の単なる思い過ごしかもしれない…
たった一日で結論を出すのは早いと考え、今日からいっときの間、私自身が色々なパターンに行動を変え、
男の動きがどう変わるのか…もしくは単なる私の勘違いなのか…こっそりと確認しようと決意した…。

そのように…
たとえば、ある一人の人間の行動分析をする学者や心理学の先生のように…
この一連の出来事を一種の記録…ゲームのように考えれば、少しは気が楽になる気がした。

私はいつものように、エスカレーターで自動販売機が近くにあるホームの位置に降り立つ。

そこから左右に瞬時に視線を走らせても、サングラスの男の姿は見えない。

今日はいないのだろうか…
別の時間帯の電車に乗るとか、もしくは今日は現れない…？

全く読めないが、毎日の記録を取るために今日は考えていることがあった…。


それは、全く別の車両から乗車すること。
私は毎日、決まった位置から、ほぼ同じ場所のシートに着席していた…
それで、目立ったために、変な男に目をつけられてしまいつけ回されているのか…
もしくはたまたまあの男が、私が座るその車両のその位置あたりを好んで…わざわざ移動してまで座りにくるのか…

…実験が必要だった。

そんな理由で、
今日、私は普段絶対に乗ることはない、電車の一両目の車両の真ん中あたりの列のシートに座ることにした。

果たして…男は…この電車に乗るのか…。
恐怖もあるが…真相を知るための、実験の始まりだ…

「発車しまーす…」…朝の闇に溶け込むような静かな車掌の声で、
ガタンと…電車がいつものように動き出す…。

私はドキドキする心臓をなんとか抑えながら、いつものように音楽を聴く準備を始めた。