ある女の苦悩

もえこ

文字の大きさ
上 下
20 / 21
外の世界

しおりを挟む
「… ふう … …」

シャワーを浴び終え、私は願う…

夢ではなかろうか…
ついさっきあったことは、夢ではないだろうか…?

私は少し長めの… 
そして少し、いつもよりリアル過ぎる夢を見ているに過ぎないのではないだろうか…

性欲を満たすために、アプリに登録したことも…
相手の男から連絡が来たことも…
男と待ち合わせ、ホテルで抱き合ったことも…

そして、その最中に…  
セックスを終えた後に、男が死んだことも…

夢か…

全て、幻…なのかもしれない…

だって、あり得ない…
これまで、真面目に生きて来た…
悪いことはせず… 常識的な行いを、これまでの人生、心がけて…
息苦しい気持ちを封じ込めて…がんじがらめに、良識のみに捕らわれて、生きて来たではないか…

その…世間の理想の型にはまらないでは気が済まなかった私が… 
こんなことを、しでかすはずが、ない…

初対面の男と会い…その男が自分の好みに合致していたからと言って、身体を重ねるなんて…

しかもその男が、行為後に…死… ?

いや、やはりあり得ない…

このドアを開けたら、この夢は…この、悪夢は醒めるに違いない…

私は目を閉じて、ドアノブに手を掛ける。

男はいない…
きっと、忽然と消えている…

そして、私は自宅のベッドで、いつものように目を覚ます…
悪夢にうなされた後の寝汗は、それはもう…ものすごい量かもしれない…

ガチャ…

ドアが開く…  まだ、夢から覚めた気配はない…。

願うように、ゆっくりと目を開ける…


まずまっさきに、足が、見えた…  
投げ出された男の脚の先が確かに、ベッドの上に…

先ほどから、位置は変わっていない…
男が起き出した…生き返った気配も、全くない…


ああ…

これは夢ではない…
紛れもない、逃げようもない事実が、私の胸のあたりに、尖った刃のようにつきたてられる…

 
私は罪を犯した…  
犯してしまった…

殺しては、いない…私が自ら、手を下したわけではない…

だが…  
恐らく…私と抱き合ったことが原因で、男が死んだ…

かなり、時間的には遅くはなったが、
警察に…  
いや、救急車に… 通報か…

それとも先に、自宅に…夫に、連絡して相談か…

いや、相談などできるものか…

私はその後、自分でも、驚くべき行動に出た…。

罪に、罪を重ねるとはこういうことをいうのであろうか…
今なら、逃げた男の気持ちがわかる…

前にあった、あの報道にあった男と、同じだ…

私は男をそのまま、放置して…

         その場から、逃げた… 











 




 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...