【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~答え~

暗い感情

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「ん… ?… 何… 水無月さん… 」

「え… … ?」

「や… そんな、じっと見られると、恥ずかしいな… その…」
杉崎さんの声が、耳に届く。

「えっ… あっ…!すみま、せん… …」

私は無意識に、杉崎さんのそこを…その部分を、凝視していたらしい…
途端に恥ずかしくなり、私はそこから目を逸らす。

綺麗だと内心で思いながら、男性のその部分を凝視する女…
淫乱、過ぎる… 相当、恥ずかしい…

「俺も、散々君の身体、…見まくってるから、人のこと、…言えないけどね…」

全裸になった杉崎さんがするりと私の身体の横に滑り込み、私を横から包み込むような形になりながら、ぼそりと呟くのが聞こえた。

私の身体を…

「…え… ?見まくって… る…」

「うん、そう… 見まくってるよ…そりゃ…」

「や… そんな、堂々と言われると…」

「え…じゃあ、全然…身体なんて、見てない、見えてないよって、言って欲しいの…?」
杉崎さんがクスリと笑いながら、私の顔を覗き込む。
その眼が、とても優しい…。

「いえ… なんというか、その… 」

「こんな場面で… 女性の身体見ない男なんて、いないと思うよ…?」

「そ…そう、ですよね… 」

それでも…いつも紳士的な杉崎さんが、私の裸を見まくっていると言ったことは、私にとって違和感しかなかった。
エロいという発言もそうだが、杉崎さんの普段からは想像できないような色々な姿を、今日は目の当たりにしている…。

なんだか、前よりもさらにいっそう、杉崎さんに近付けたような気がして嬉しくなる。

「…水無月さんは…いつでも、そんな、なの…?」ぼそりと、杉崎さんが呟く。

「え… ?」そんなとは… どういう意味だろう…

「いや…あの、…身体、事あるごとに隠しまくってるから、いつも、そうなのかな、って… 」

「え… っと… … 」
そんなことを聞かれるとは思っていなかった。

…その通りだ…いつも、私はこうだ…
 
拓海と付き合って何年も経つのに、私はいまだに拓海とのセックスの後ですら、裸で歩き回ったりはしない。
しないというより、できないのだ…。
裸を見られるのは、いつだって恥ずかしいし…何より、自信がない…。
自分の身体どこをとっても、自信が持てない。

例えば林さんのように、グラマーな…素敵な身体つきだったら、もしかしたら裸を隠さずにいられるのかもしれない…大きな胸と…くびれたウエスト…お尻も大きくて綺麗な形で、まるでモデルのようだと何度も思った。
女の私ですら目で追ってしまうほどの、美しいスタイル…。

心の中が、しゅんとした。
こんな、幸せな状況なのにも関わらず…心の奥に暗いものが、すとんと落ちてきたのがわかった…。

何度も覚えがある…

  この感情の正体は、凄まじい劣等感…。



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