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~答え~

限界

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近藤さんを、気にしては、いない…

むしろ、杉崎さんにべたべたと触れるあの女性が気になったくらいですと言いたいくらいだが、もちろん言わない…。

「… いえ… そんなには、… 」

確かに、やたら距離が近いというか、フレンドリーな人だなとは思っていたけど…彼の懐っこい性格のせいか、不快とまではいかなかった…弟のような感じで…
むしろ、杉崎さんがそんなことに気付き、気にしてくれていたことに、内心で小さく、驚く…。

「そう…?これからは気になることがあったら遠慮せずに言ってね…いや、会社に戻ってからもさ…水無月さんは見た目は大人しそうに見えるからか…そういう奴に、狙われやすいんじゃないかなって…」

杉崎さんが心配そうに私を見て、にこりと微笑む…。

その笑顔に、ドキリとした。

「あ…ありがとう、ございます…でも、見た目はって言い方、なんだか気になります…中身は違うみたいな…」

「あ…気付いちゃった…?中身はおとなしいだけじゃないよね、きっと…あ、まだおかわりあるよ… 注ごうか」

杉崎さんが立ち上がり、まだ私の手の中にある空のグラスに手を伸ばす。

「あっ… …」瞬間、大袈裟ではなく…ビリリと、電流が走ったような気がした。

指が…杉崎さんの長い指が、私の指にちょんと、触れたからだ…。

「あっ、っと… ごめん… 」

「いえ… 」  

しばらく、お互いに沈黙してしまう…
シンという音が、してしまいそうなほどに、部屋の中に…静寂の時間が訪れる… 

なんだろう… まともに、杉崎さんの顔を見ることができない…
私は顔をあげずに、自分の両手を揃えて、膝の上に乗せる…。

杉崎さんがことりと…静かに、空のグラスを小さなテーブルに置いたのがわかった。

「水無月さん… 」杉崎さんの低い声が、耳に届く。

「は、い…」声が震える…。

「そろそろ、限界、かも… 」 

「え… … ?」

「そろそろ、君に触れても…いいかな…?… 触れたい… 」

杉崎さんに正面から、こんなことを尋ねられて… 
嫌だと断れる女性が、果たしてこの世に…いるだろうか…

杉崎さんの濡れたような綺麗な瞳が…私を射抜く… 

       もう、ダメ、だ…   

「あ… … は、 はい… 」

ギシリと音を立てて、杉崎さんが私の横に腰かける…。
その重みに、ベッドがゆっくりと沈む…。

「じゃあ … 遠慮なく… 」

「あっ… 」ぐんと、腕を少し強引に、引き寄せられ… 

私は杉崎さんの腕の中に、抱き止められていた…。
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