【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

文字の大きさ
上 下
471 / 538
~答え~

送信

しおりを挟む
杉崎さんに鬱陶しい女だと、思われたくはない。
出来るだけ文章を短く、簡潔に…

私はそんなことを心掛けながら直ちに文面を作成した。

『夜分に失礼します。まだ、起きていますか…?』

ただシンプルに…その一文のみを、送信する。
私はずるいだろうか…

その続きを先に、打ち込む勇気はなかった…。
夜分にすみません、まだ大丈夫であれば、部屋に来られませんかと…
そんな風に…文章を続ける勇気がなかった。

これで、杉崎さんからなにかしらの返事がなければ、もういい…それはそれで仕方ない…
返事がなければ、なかったことにする…
明日の朝、夜眠れなかったので遅くにメールしてすみませんと、謝ろう…

そんな気持ちで、私はそのまま、ベッドに仰向けになる…。

私は馬鹿だな… いつもこうだ…

これまでの人生、後悔ばかりの人生だったような気がする。

中学の時に初めて好きになった先輩には、
何日も前からチョコレートを準備して、意を決してバレンタインデーにチョコレートを持って行ったにも関わらず、
緊張のあまり、告白もできず、渡すことも出来ず…
結局家に持ち帰って、家族に残念がられながら、落ち込みながら自分一人で食べた…。
しかもその先輩は数日後、同じバレンタインデーの日に告白されたらしい別のクラスの可愛い女子と付き合い始めた。

今だってそうだ…。
杉崎さんに部屋にお邪魔していいかと聞かれた、あの瞬間…

あの瞬間、自分の本能のままに、すぐにいいですよと言うことができていたら…。
こんな回りくどい方法で杉崎さんにアクションを起こさずに済んだのに…

実を言うと、汗が気になった…。
メイクが崩れていないか、気になった…。
他にも、沢山…
今考えれば、些細なことだ…
だけど、そんな些細なことで…私に、迷いが生じた…。

杉崎さんの立場に立てば、
杉崎さんに限って、ないと信じたいけど…もしかしたら、だけど…
こんな風に後になって連絡するくらいなら、焦らさずにすぐに返事しろよ…などと思われる可能性だってある…。

だとしても…
杉崎さんにそんな風に思われるのが一番嫌だと、わかってはいても…
私は自分の気持ちを我慢できなかった。


        ピリリ…   音と、微弱な振動…


「あ… … 」思わず声が出てしまう…。

なんて、書いているんだろう…
返事が来るということは、起きているよ…と、シンプルな回答だろうか… 

私はドキドキしながらも、ラインを開いた。

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...