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~新しい朝~

スリープ

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「あ… はい、…知ってます… 」
やはり彼女も知っているのだ、林さんのことを…

「だからあの海辺で二人を見た時、あ!!って、思っちゃったんですよ~~これはもう、速攻報告かなって!」

「… …え …?」

「私、林さんとたま~に連絡とってるんですよ~最近忙しくて少し、途絶えてますけど、ホントにたまに…」

「そう…なんですね…」チクリと、何かが胸に刺さった…

「あ~~でも良かった、遠恋ってやっぱり心配になると思うんですよ~林さんの立場だと…特に杉崎さんみたいに素敵な彼氏だと~離れてる間に、変な虫がつかないかって… あ!あの…水無月さんが変な虫とか…そういうことじゃなくて~あくまで、言葉のあやですよ~!」

「…はい…そうですね…杉崎さん、とても…素敵ですもんね…」気持ちがどんどん、落ちていく…

もうそろそろ、いいかな…もう、解放して欲しい…そんな気持ちで彼女を見つめ返す。

「あっ!ごめんなさい!!具合悪いのに…仕事も全然、進んでないですよね~そろそろ私、失礼しますね!」

ガタンと音を立てて…彼女が椅子から立ち上がる。

「じゃあ水無月さん…またいつか、誘いますので…ご飯行きましょう!」

彼女の目的は、私との楽しいトークじゃない…
それがわかっている私のトーンは、さらに下がっていく…
きっと、私は彼女が必要な時にだけ…事情聴取をされるだけの身柄、なのだ…

彼女は真っ向から質問が出来る刑事で…私はまるで、下を向くしかない被疑者のようだ…

任意の事情聴取なら、絶対行きたくない…そう思った。

「ええ…はい、また…お疲れ様です…」
私は力なく、彼女を見送る。

すると彼女がドアの入口で突如振り返った。

「あ!そうそう~~~」

「え…??」まだ、何かあるのか… 私は身構える…

「ディナーに行った理由はわかりましたけど…やっぱあれは、まずくないですかぁ~…?」

「え… …?」

「手ですよ~あんな風に手を繋ぐのって、なんかどう見ても変ですよ~見た人は絶対…誤解しますって…」

「あ… … 」 まだ、やっぱり…疑われている…? 咄嗟にそう思った。

「あれは…私が高いヒールを履いていたので、杉崎さんが…支えて…くれて」

「…ふーん…ま、色々気を付けてくださいね~噂って、怖いですもんね~ではまた、失礼します~」

言うことを言って、彼女はひらりとスカートをひるがえしてオフィスを出て行った…

「… … … 」

噂は怖いものだ… 
単なる疑いであれ…広まればあっという間に、虚偽の話が真実にすり替わってしまう危険性を帯びている。
でもその噂はきっと…彼女のようなタイプの人間が広めるのだろう…

まただ… 刺された…  刺されてしまった…

これはもう、前とは違う… 
彼女に、笑顔で… もっと、もっと大きな…巨大な…釘を刺されてしまった…

もうダメかもしれない…  彼女が怖い…  

私は本当に気分が悪くなり、スリープ画面になったパソコンの暗い画面を見つめた…














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