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~日常~

卑怯

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私は気付けば、答えていた…。

「ごめんね…昨日仕事でトラブって急遽、残業になっちゃって…帰りも遅くて…」

『…ふーん…そうだったんだ…飯は…?』

「…え…?ご飯…?」質問の意図がわからない…

『帰り、遅くなって飯は、ちゃんと食えたの…?誰かと食って帰ったの…?』

「あ… それは… 」 なんて、言えばいいのか… 直ぐに出てこない… 

『… … …』駄目だ… 拓海が不審に思う… 早く、言わなきゃ…

「…ご飯ね、職場の人と数人で外で食べて帰ったよ…バタバタしてて、ホント携帯もバッグの奥底に入れててごめん、全然確認してなかった…帰ったら服のまま、寝ちゃってたし…」
すらすらと、嘘が出てくる…私は最低だ…

『ふーん…そっか…葉月がそのまま寝るってよっぽどだな…そりゃ、大変だったな、お疲れさん』

「うん…ごめん… 」馬鹿な私は思わず…謝ってしまう。

『なんで、謝んの…?仕事なら仕方ねえじゃん。変な奴…そうそう、俺さ、そのうちまたそっちに帰ろっかなって思ってんだけどさ…』

「え… うん…いつ…? 」 ドキリとした…

『葉月がいい時期…土日、忙しくない時って、いつ位…?』
無理だ…咄嗟にそう思った…。

「えっとね、そう!あのね、私…今度は私がそっち…九州に行こうかと思ってるんだけど…」

『は…? なんで…おまえ、いつも来たがらないのに…』

「あの…ちょっと、…拓海に話したいこと、あって… 」

『なんだよ、かしこまって…今…電話じゃ、駄目なわけ…?』

「ん…出来れば直接がいい…かも… ごめん、また日程については連絡するから…」

『…ああ… あ、でも…お前が来る前に俺が行くのもありっちゃ、ありなんだよな…?そん時でもよくね?話…』

「え… う、 …う、ん…でも仕事が結構忙しくって、来てもらうのは難しいかもだからさ…」

『… 別に おまえがいなくても…日中、おまえの家にいるくらいはいいだろ…?』

「あ… うん… とにかく、またお互いの日程見て、決めよ…ね…?」

『…ああ…』

「じゃあ、切るね… ごめん、今度はちゃんと電話、出られるようにしとくから…」

『ああ…じゃ、またな…』

  ブツと無機質な音を立てて電話が切れた。

私の嘘で塗り固められた、様々な言い訳…ぎこちない空気が流れてしまったかもしれない…

いつから私はこんな人間に、なったのだろうか… 最低で…卑怯だ…

私は大きなため息をついて、バッグを引き寄せた… 






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