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~彼との分離~
アールグレイ
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「こんにちは…あなた確か昨夜…修哉と一緒にいた女の子…よね…?」
その綺麗な女性は私を見下ろし、かなりフレンドリーに…そんな風に語り掛けて来た。
「え… っと… …」
何と答えればいいのか、一瞬迷う…。
なぜ、この女性が今、私の目の前にいるのか…一瞬、頭が回らなくなる。
でもそうか…
この人も昨夜、男性と一緒にエレベーターに乗ってきたのだ…。
その男性とともに宿泊し…
同じように男性がチェックアウトを済ませ、先にホテルを出て…
女性一人で…ゆっくりとカフェに来たのかもしれない…
ああ…なんだか…心の中がざわざわするのを、止めることが出来ない…
話したくない…この女性と、長く話をしていたくない…
漠然と、そんな気持ちになった…
この人は杉崎さんのことを親し気に「しゅうや」と…名前で、呼び捨てにした…
男性と一緒にいたてまえか、すぐに杉崎くんと言い直したものの…明らかに、親し気に杉崎さんに接してきて…
そうだ…確か…私のことも、聞こうとしてきた…彼女?…って…確かそう、聞いてきたような…あの後、杉崎さんはなんと答えていたっけ… 思い出せない…
そして…あの短時間の間に、私にまとわりつくように絡められた視線…
何度か体験した、あの空気感…
誰から…どう見ても、素敵な杉崎さんと一緒にいるだけで、私はいつも…他の女性からこんな視線を受けてしまう…
見てみてあの人、すごくかっこいい…え…でも、隣の女見て…誰…あの、冴えない女…似合わない~
夜、自宅近所の店に杉崎さんと食事に行った際も…お茶に行った時も、いつもそんな風に、周りに言われているような気がするのは、私の被害妄想だろうか…
「あら…どうしたの?…人違いだったかしら…ごめんなさい、突然話しかけて…でも…やっぱり昨日の…」
その女性が微笑みながら、私の席に、更に一歩近づく。
ええ…人違いですよ…誰とお間違いですか…?
そんな風に少し強気に返事ができたらどんなに良かっただろう…
私にはとても、無理だった…
「あ…いえ… すみません、そう…です… 」
「やっぱり!!…私昨夜、酔っぱらってたから…夢かと思っちゃったわ~ふふ…」
「… … … …」
ごめんなさい、私、フルーツタルトを一人でゆっくり食べたいです…もう、いいでしょうか…?
そんな風に…言えたらどんなに良かっただろう…
世の中にはいろんな人がいる…
たとえ、初対面だったとしても…相手の状況にお構いなしに、ずかずかとテリトリーに入ってくる人も、一定数いるらしい…
「私もお茶しようと思って来たのよ…?少しだけ、ご一緒していいかしら…?」
「え… … … …あ… 」
駄目な私…
明確に断れないまま…その少し派手目な女性は、私の返事を待つまでもなく、
私の正面の椅子に優雅な素振りで、ゆっくりと腰かけた。
「あ…、お兄さん、私、アールグレイをお願い。」
「かしこまりました。」
そう言えば…杉崎さんが…紅茶の種類が豊富って言ってたな…
なのに、私はうっかり、珈琲を頼んじゃった…
そんな、どうでもいいことが、なぜだかそんな時に頭の隅をよぎったが、後の祭りだった…。
その綺麗な女性は私を見下ろし、かなりフレンドリーに…そんな風に語り掛けて来た。
「え… っと… …」
何と答えればいいのか、一瞬迷う…。
なぜ、この女性が今、私の目の前にいるのか…一瞬、頭が回らなくなる。
でもそうか…
この人も昨夜、男性と一緒にエレベーターに乗ってきたのだ…。
その男性とともに宿泊し…
同じように男性がチェックアウトを済ませ、先にホテルを出て…
女性一人で…ゆっくりとカフェに来たのかもしれない…
ああ…なんだか…心の中がざわざわするのを、止めることが出来ない…
話したくない…この女性と、長く話をしていたくない…
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そうだ…確か…私のことも、聞こうとしてきた…彼女?…って…確かそう、聞いてきたような…あの後、杉崎さんはなんと答えていたっけ… 思い出せない…
そして…あの短時間の間に、私にまとわりつくように絡められた視線…
何度か体験した、あの空気感…
誰から…どう見ても、素敵な杉崎さんと一緒にいるだけで、私はいつも…他の女性からこんな視線を受けてしまう…
見てみてあの人、すごくかっこいい…え…でも、隣の女見て…誰…あの、冴えない女…似合わない~
夜、自宅近所の店に杉崎さんと食事に行った際も…お茶に行った時も、いつもそんな風に、周りに言われているような気がするのは、私の被害妄想だろうか…
「あら…どうしたの?…人違いだったかしら…ごめんなさい、突然話しかけて…でも…やっぱり昨日の…」
その女性が微笑みながら、私の席に、更に一歩近づく。
ええ…人違いですよ…誰とお間違いですか…?
そんな風に少し強気に返事ができたらどんなに良かっただろう…
私にはとても、無理だった…
「あ…いえ… すみません、そう…です… 」
「やっぱり!!…私昨夜、酔っぱらってたから…夢かと思っちゃったわ~ふふ…」
「… … … …」
ごめんなさい、私、フルーツタルトを一人でゆっくり食べたいです…もう、いいでしょうか…?
そんな風に…言えたらどんなに良かっただろう…
世の中にはいろんな人がいる…
たとえ、初対面だったとしても…相手の状況にお構いなしに、ずかずかとテリトリーに入ってくる人も、一定数いるらしい…
「私もお茶しようと思って来たのよ…?少しだけ、ご一緒していいかしら…?」
「え… … … …あ… 」
駄目な私…
明確に断れないまま…その少し派手目な女性は、私の返事を待つまでもなく、
私の正面の椅子に優雅な素振りで、ゆっくりと腰かけた。
「あ…、お兄さん、私、アールグレイをお願い。」
「かしこまりました。」
そう言えば…杉崎さんが…紅茶の種類が豊富って言ってたな…
なのに、私はうっかり、珈琲を頼んじゃった…
そんな、どうでもいいことが、なぜだかそんな時に頭の隅をよぎったが、後の祭りだった…。
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